建設業界が抱えている重層下請構造により発生する問題

建設工事業情報ラボ

日本経済を支えている建設業界は、東京オリンピックで需要を高め好業績という状況だったといえます。

しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響や、労働者の高齢化による人材不足など色々な問題を抱えており、さらに業界特有の重層下請構造により様々な問題を抱えている状況です。

そこで、建設業界の重層下請構造により、いったい何が問題になりやすいのかご説明します。

建設業界特有の重層下請構造とは?

建設業界は、発注者から元請け、元請けから下請け、下請けから孫請けという請け負い構造となっており、二次・三次どころか四次・五次などピラミッド型の下請構造になっています。

そのため、仕事の発注先である元請けが倒産してしまうと、そのあおりを受け自社も連鎖倒産してしまうといったリスクが高い状態です。

従来までは大手ゼネコンなども自社で技能者を雇用していました。しかし現在では外注先に仕事を委託することが一般的ですが、これは専門職に特化した高い技術や能力のある業者が増えたからといえます。

この重層下請構造により、工事現場には様々な業者や専門職が出入りしますが、仕事の報酬は建築物が完成した後で支払われます。

手付金も中間金もなく、完成物の引き渡しから半年後の支払い条件というケースもめずらしくないため、資金力の高い元請けは自社の運転資金で事業を継続できても中小の業者は倒産してしまうこともあります。

現在は新型コロナウイルス感染拡大による影響で、工事の延期や中止などが相次ぎ、資金繰りに耐えられなくなった中小の建設業者が多く倒産してしまっているのが現状です。

重層下請構造が資金繰りを厳しくさせている問題

そもそも工事を担当する建設業者は資金繰りが厳しいことで知られていますが、これは材料費や外注費などの支払いは報酬の受け取りよりも先行して発生するからです。

銀行から融資を受け、運転資金を確保しようとする建設業者も多いですが、融資実行まで1か月程度待つ必要があり、必ずしも借りることができるとも限りません。

資材はすぐに仕入れなければならず、協力会社に対する外注費や作業員に支払う労務費など、様々な費用負担が発生すると考えれば、手元に十分な資金がないことを理由に仕事の受注さえ困難になるケースもめずらしくないといえます。

中小の建設業者が資金繰りに困ることのないように、前受金や中間金などが支払われることもありますが、それでも十分とはいえず資金繰りを圧迫することは多々あります。

重層下請構造が改善されない限り、建設業界の資金繰りの厳しさは解消されることが難しいと考えられるでしょう。