失敗を恐れるな!経営の失敗は成功のもと?大切なのはサーチ理論?

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「失敗は成功のもと」という言葉があるように、失敗してもその失敗が成功に繋がることは確かにあります。
では成功する組織や著名な経営者などは、誰もが一度は失敗を経験し、その後に成功しているのでしょうか。

成功に必要なのは「サーチ行動」
本当に成功体験よりも失敗体験の方が、その後の行動や行為が向上することに貢献できるのでしょうか。
世界の経営学によると、組織学習で最も重要な基本原理は「サーチ行動」であると考えられ、学者たちの意見も一致しているようです。この考え方は、ノーベル賞受賞の学者であるハーバード・サイモンの時代から、認知科学分野により打ち立てられてきました。
サーチ理論は、人は学習して成長する生き物なので、失敗を経験しない人や組織より、失敗した人や組織のほうが大きな学びを得やすいという考えです。

成功体験ばかり続くとサーチしなくなる
サーチとは、新たな考え方やアイデア、知見・情報などを常に模索し追求することです。経験を通じて常に新しい考えや情報を取り込んで行くことなので、幅広くサーチ行動を行えば広い世界から多様な情報を取り込んでいくことができます。
組織は失敗を経験することで、これまでを振り返り新しい知見を求めてサーチを行うようになりますので、長い目で見れば学習効果が得られて成功確率が高まると言えるでしょう。
反対に成功体験ばかり重ねてしまうと、自分の行動は常に正しいと認識してしまい、サーチ行動を行わなくなってしまいます。

サーチ理論は本当に正しい?
サーチ理論が正しければ、成功し続ける組織はサーチ行動を行わなくなり、組織のパフォーマンスを低下させていくことになります。しかし成功体験は失敗体験ほどではなくても、組織パフォーマンスにプラスの効果を与える結果も見られます。
この矛盾を解消する分析結果として、組織に失敗体験が乏しい場合に限って成功体験がその後の失敗確率を高め、パフォーマンスを低下させるといったものがあります。
本来であれば成功体験は良い効果をもたらすものだけれど、失敗経験が乏しい状態で成功体験だけを重ねることでその後は失敗確率が高まると言うことです。

長い目で成功確率を高めたいなら・・・
失敗を経験しないまま成功だけ積み重ねていくと、十分にサーチが行われない状態で成功してしまうことになります。そのためサーチしようという意思が働かなくなり、長い目で見た成功確率を低下させることになるでしょう。
良い例として失敗経験をせずに若くして成功した起業家やベンチャー企業などは、一時的に見れば勢いがあったのにある一定期間後に長期低迷するというケースが挙げられます。
長い目で成功確率を高めていくためには、まずは失敗経験を重ねながら、成功していくことを重ねていけるようにしたほうが良いということになるでしょう。
若いうちは失敗しても良いから経験を積むべきだという考え方は、このような法則のもとに言われていることなのかもしれません。