社外監査役はなぜ必要?その役割とは何か解説

企業経営情報

上場企業などの場合、コーポレートガバナンス強化を目的として「社外監査役」を設置しなければならないことがあります。

「社外監査役」は、会社法で要件が厳しく定められていることや、業務監査に関する資質などが必要となるため、誰でもなれるわけではありません。

そのため弁護士などが選ばれることが多いといえますが、社外監査役はなぜ必要なのか、その役割について解説していきます。

社外監査役とは

「社外監査役」とは、社内から選ばれ昇格した方がなるわけではなく、社外から就任した監査役のことです。

そもそも「監査役」は、会社経営における業務や会計の監査を行うことで、不適切な業務の有無などを調査し阻止・是正するための機関です。

あえて社内ではなく社外から監査役を迎えることは、過去現在どちらでも会社そのグループ会社などに在籍経験のない人材を起用することを意味します。

しがらみや利害関係のない人に経営を監視してもらうことで、不正や不祥事などを内部で隠すこともなくすことができると考えられるでしょう。

監査役を設置することは原則「任意」とされていますが、取締役会を設置している会社の場合は、指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社などを除いて設置義務があります。

監査役会設置会社の監査役は3人以上必要であり、そのうちの半数以上を社外監査役にすることも必要とされています。

社外監査役の役割

一定の条件を満たす株式会社には、社外監査役の設置が義務付けられています。

会社法上、監査役の役割・権限は取締役の職務の執行を監査することですが、取締役が経営権を濫用し、私腹を肥やすといった悪行をしていても、株主は仕事や業務に携わっていないためその事実を把握することはできないしょう。

そのため、取締役に近い立場で業務執行を監視し、仮に不正があったときには責任を追及する役割を監査役が担います。

社外監査役になるための要件

監査役は誰でもなれるわけではなく、次の要件を満たす方であればなることができます。

・会社の取締役または支配人その他の使用人でないこと
・子会社の取締役・支配人その他の使用人・会計参与・執行役でないこと

さらに監査役会設置会社では、監査役の半数以上が「社外監査役」でなければなりません。

社外監査役は会社の経営陣と個人的なつながりのない人材であることが必要です。

そのため監査役会設置会社の監査役のうち、次のすべての要件を満たす方でなければなれないとされています。

・就任前10年間、会社または子会社の取締役・会計参与・支配人・その他の使用人であったことがないこと
・就任前10年以内に、会社または子会社の監査役だったことがある場合、当該就任前の10年間、会社または子会社の取締役・会計参与・支配人・その他の使用人であったことがないこと
・親会社等の取締役・監査役・執行役・支配人・その他の使用人でないこと
・親会社等の子会社等の業務執行取締役等でないこと
・会社の取締役・支配人・その他の重要な使用人などの配偶者・二親等内の親族ではないこと