企業が必要とする事故や災害に備えるリスクマネジメントとは

経営者の多くは緊急事態が発生した場合の危機管理体制を構築していると思いますが、いざ事態が発生した時に対応するだけでは不十分です。事故や災害はいつ発生するかわからないため、準備を事前に進めておく「リスクマネジメント」で万が一の事態が起こる前に対策しておきましょう。

危機管理とリスクマネジメント

リスクマネジメントと危機管理は似ているように感じるかもしれませんが、事態が発生する前に備えることが「リスクマネジメント」で、事態が発生した後に備えることが「危機管理」です。これまで企業では危機管理を行うことが一般的でしたが、現在では事前対策としてリスクマネジメントを重要視する企業が多くなりました。

リスクマネジメントが重要視される理由

リスクマネジメントに必要性が高まる理由としては、危機管理では費用が大きくなる傾向にあることがあげられます。リスクマネジメントを実施することによって、被害を最小限に留めることができますので余計な費用をかける必要がなくなり企業を守ることに繋がります。

災害に備えたリスクマネジメント

日本は非常に地震が多く発生する国ですが、地震で建物が崩壊すれば修復する必要が出てきます。その間の営業は停止することを余儀なくされ、建物の再建築費用だけでなく売上にも影響が及びます。東日本大震災が発生した時にも、休業や廃業といった事態に追い込まれた企業は多くありました。地震だけでなく、台風や豪雨など様々な災害が起こる可能性がありますので、リスクマネジメントで災害に備えることが大切です。

国が実施したリスクマネジメントの例

1990～2000年代に実施されていた首都機能の移転は、東京で大地震が発生した時に国の機関が同じ場所に集中していると不都合が生じるために事前に別の地域に移すというものでした。この対策も災害に対するリスクマネジメントの一環と言えるでしょう。

企業が実施するべきリスクマネジメントは？

では企業が災害に対してリスクマネジメントを実施するのであれば、まず企業の業種、建物、年間利益などについて総合的に判断していくことが重要です。その判断をもとにして災害が発生した時にどのくらいの損失になるのかを計算し、建物の補修や移転は事前に行っておくことが望ましいでしょう。さらに保険に加入することや積み立てによる資金準備も必要になります。

人を守るためのリスクマネジメントも必要

災害が発生した時の人の管理もしっかりしておくことが大切です。一定以上の災害が発生すると、従業員に安否確認メールが一斉送信される安否確認管理システムを導入する会社も増えています。メールの返信状況が専用ホームページから閲覧できるようにしているなど、人に対する災害のリスクマネジメントを徹底することも企業にとって重要です。