中小企業に恩恵のないマイナス金利で多くの企業は倒産する?

企業経営情報

日本銀行のマイナス金利によって為替が円安に進めば、日経平均株価は上昇し、円安でメリットを受けやすい企業も収益を改善できる可能性があります。さらには金融機関が融資や投資で資金運用を可能とすることができれば、企業収益は改善し賃金の上昇なども見込まれ、景気回復や物価上昇といった効果も期待できるでしょう。

 

 

マイナス金利では何も変わらない?

日本銀行は金融機関が利用している当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を適用することを決めました。金融機関としてはお金を預ければ手数料を支払うことになるので、当座預金の残高は減少しその分が民間企業への融資に回れば経済が上向きになるという狙いです。

実際得をするのは一部の企業のみ?

しかし融資が増えて景気が上を向くのは、値上がりが見込まれる都心で開発している不動産関連の業種や、東京五輪の恩恵を受けている企業くらいだという考えもあります。資金は目先で儲かりそうなマーケットにしか流れませんので、マイナス金利で融資基準が甘くなったとは一概に言えないのです。

中小企業の資金繰りの今後

マイナス金利により、中小企業の資金繰りを支えている信用金庫などでは、融資が受けやすい状況をつくるための低金利競争が激化し、収益が圧迫されている状況です。このままマイナス金利が続き貸出金利が引き下がれば、金融機関の業績は悪化しますのでいずれは貸し渋りや貸しはがしが大量発生するかもしれません。資金繰りに困った企業は次々に倒産していくことも予想され、過去にも1990年代後半から2000年代初めには毎年2万社近くが倒産して350万人以上が職を失いました。

企業への金利は上がる?

今回のマイナス金利で予想される倒産は、過去と違うメカニズムによるものであることが予想されます。日銀の黒田総裁は今後必要になればさらに金利を引き下げるとも言っていることから、貸出金利は逆のベクトルが働いてしまいます。当座預金のマイナス分を別でカバーする必要がありますが、預金者の金利をマイナスにすると大騒ぎになり兼ねないことから企業への貸出金利を引き上げるという方法が取られる可能性もあります。

マイナス金利による倒産への懸念

実際のところ、金融機関から今の利率よりも低利で融資されることになったとしても、半数に近い企業が調達しないと答えています。資金に需要がないことがその理由で、近年低利が続いている状況のため多少利率がさらに下がってもあまりメリットを感じないということも理由のようです。むしろ今後、金融機関が中小企業に対して貸し出し姿勢を変えてくるのではということが懸念されています。どちらにせよ、資金繰りが苦しい中小企業にとってマイナス金利がプラスに働くことはないと言えるでしょう。