経営者は働いていても雇用保険や労災保険には加入できない?

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会社の経営者である社長や取締役は、労災保険や雇用保険に加入できません。一般的に社会保険とは、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険の4種類を合わせたものです。

会社を設立した経営者である社長も労働をしていると思いますが、健康保険と厚生年金保険にしか加入することができません。
健康保険と厚生年金保険にしか加入できないということは、倒産や廃業した場合でも雇用保険に加入していませんので失業手当を受け取ることはできませんし、業務内でケガをした場合にも労災保険から給付を受け取ることはできません。

雇用保険や労災保険は非雇用者のための保険
中小企業の社員から社長になった人などは、雇用保険や労災保険に加入したままになっている人がいます。これは切り替え忘れの状態で、社長であることを伏せたまま失業保険を受給してしまうと不正受給になってしまいます。
雇用保険や労災保険に加入できない人を「適用除外者」といいますが、適用除外者に該当する人は次の人です。
・法人の代表者、代表取締役
・合名会社などの代表社員
・株式会社の取締役
・個人事業主
雇用保険と労災保険は雇用された人に対する保険のため、一般的に雇用者の立場でないとみなされる取締役なども雇用保険や労災保険には加入できません。

代表権のない取締役なら加入できる?
取締役でも代表権を持たない取締役である「兼務役員」がいます。兼務役員なら雇用保険や労災保険に加入することが可能です。
兼務役員は労働者性を伴う役員で、役職名としては例えば「取締役兼営業部長
などにあたる人です。
中小企業の取締役は兼務役員であることがほとんどですが、兼務役員と認められるためには次のような届出・提出書類が必要です。
・雇用保険被保険者資格取得届
・兼務役員雇用実態証明書
・過去3か月分の出勤簿・賃金台帳
・取締役就任を明記した議事録
・登記簿謄本
・就業規則、労働者名簿

兼務役員は従業員と同じ保険の扱いではない
ただし兼務役員の雇用保険と労災保険の扱いは従業員と同じ権利ではなく、雇用保険と労災保険の対象となるのは従業員給与部分のみです。
さらに労災事故が起きた場合でも、役員業務執行中には保険給付を受けることができないことがあります。年度更新時も従業員給与部分のみの計算で行う必要があります。
出勤簿や賃金台帳で証明することができれば、過去に遡って兼務役員として雇用保険や労災保険に加入することも可能です。

社長や個人事業主でも加入できる雇用保険とは?
社会保険では社長や個人事業主の場合雇用保険に加入することができません。雇用保険は失業した時に給付金を受け取ることができる保険です。雇用保険の代わりとして「小規模企業共済」を活用することを検討しましょう。
・小規模企業共済とは
小規模企業共済は独立行政法人中小企業基盤整備機構が提供する共済制度です。会社を退職した時、廃業した時などのために生活資金として積み立てておくことが可能です。

社長や個人事業主でも加入できる労災保険
また、ある一定条件を満たした場合、労働保険事務組合の「労災保険の特別加入制度」を利用することが可能です。労災保険の特別加入制度に加入できる業種は次のとおりです。
・中小事業主とその事業に従事する人(第1種特別加入者)
・一人親方、その他自営業者とその事業に従事する人(第2種特別加入者)
・特定作業従事者(第2種特別加入者)
・海外派遣者(第3種特別加入者)

経営者も自分の身を守るために
経営者などは雇用されている身ではありませんので、一般的には雇用保険や労災保険に加入することができません。
しかし雇用保険の代わりになる保険や、労災保険の特別加入制度などを活用することで、保険に加入することが可能です。自分の身を守るために、経営者も保険への加入を検討するようにしましょう。