セクハラとは、職場で他者を不快にさせる性的な言動です。
労働に不利益を与える行為や、就業環境が害することといえます。
職場内のセクハラは、当事者だけの責任にとどまらず、会社も被害者へ慰謝料を支払う義務を負います。
そのため、会社役員も、セクハラに該当する行為があった場合の責任について理解しておくことが必要です。
そこで、セクハラについて、民法における扱いや会社役員の管理責任を紹介します。
セクハラとは
「セクハラ」とは、「セクシュアルハラスメント」のことであり、性的な言動での嫌がらせです。
会社経営において、社内で起こる恐れのあるセクハラを防ぐためには、業務に対する影響も考慮しながら社内教育を徹底して行いましょう。
セクハラの民法における扱い
セクハラは、民法第709条において、故意または過失で他人の権利を侵害する不法行為とされています。
加害者本人が被害者に行った、損害賠償責任を負わなければならないほどの性的な言動といえます。
「性的な言動」とは、以下を含みます。
・性的な関心や欲求に基づくもの
・性別により役割を分担すべきとする意識に基づく言動
・性的指向や性自認に関する偏見に基づく言動
しかし、職場におけるセクハラは、加害者本人だけが損害賠償責任を負うわけではなく、会社も負わなければならない恐れがあります。
セクハラに関する会社役員の責任
会社は社内で起こった従業員のセクハラ行為により、被害者の被った損害の責任を、加害者と共に負わなければなりません。
これは、会社が雇用する上で、従業員が事業を執行することに伴い第三者へ与えた損害を賠償する使用者責任を負うからです。
会社がセクハラ行為があることをわかりながら放置した場合や、適切な対策を講じずに職場環境配慮義務に違反したときも、債務不履行責任を負わなければならない恐れがあります。
男女雇用機会均等法第11条では、労働者がセクハラなどで不利益を受けて職場環境を害されないように、適切な体制を整備して必要な措置を取ることを義務づけています。
会社がセクハラ問題を放置することは、従業員の健全な職場環境を維持できない状態を作ることになり、職場モラルを低下させます。
業務遂行能力を悪化させ、会社の社会的評価も落とすことになるでしょう。
特に近年は、管理責任の懈怠で損害賠償を請求され、認められる額も年々高額になっているため、十分に注意が必要です。