事業承継の3つの方法とそれぞれのメリット・デメリット

事業承継・相続

企業が行う事業承継には大きく分けて3つの方法があります。それぞれの方法と、メリット・デメリットについて詳しくみてみましょう。

【1、 親族内承継】
現経営者の息子、娘、配偶者などを後継者として事業を承継するのが親族内承継です。
この方法のメリットは、内外の関係者から受け入れやすい、後継者を早期に決定できる、育成する期間を十分確保する事ができる、所有と経営の分離ができるため相続等によるトラブルを回避できるなどがあります。
一方、親族内に優秀な後継者がいるとは限らない、相続人が複数いる場合は後継者の決定、経営権の集中が困難であるというデメリットがあります。

【2、 親族外承継】
共同創業者や、優秀な従業員に事業を承継することを親族外承継と言います。この場合のメリットは、親族内だけでなく広い範囲から候補者を探すことができる、経営理念や、事業について十分理解しているので事業承継がスムーズに行えるなどがあります。
一方で、社内に適任者がいない、後継者候補に承継時に関わる資金がない、個人債務保証に問題があるなどのデメリットがあります。

【3、 M&A】
近年後継者不足の問題などからM&Aによる事業承継が増加傾向にあります。自社を好条件で外部の人材や企業に売買する方法で、現経営者には高額な売買金が入ります。
メリットは、親族内承継などに比べ事業承継を比較的早期に行うことができる、現経営者が会社売却の利益を得ることができ、第二の人生をスタートできるという点があります。
一方で、従業員の雇用や、譲渡価格などの条件が現経営者の希望通りに売買できないケースもあります。また、経営の一体性を保つのが困難であったり、経営理念の維持が困難なケースもあります。
ひと昔前までは、親族内承継が全体の約85%親族外承継が約15%でした。しかし、近年は親族内承継が35%で、親族外承継が65%とその割合は逆転しており、従業員やM&Aでの承継が急増しているのがわかります。

【まとめ】
近年親族内承継が減少している大きな理由として、現経営者が子供には自分の道を自由に進んでほしいと願っていたり、自社の経営が安定しておらず事業を継がせたくない、と思っているなどの理由があります。
事業承継する場合には、それぞれに上記のようなメリット・デメリットがあります。
いずれにしても事業承継には多くの時間がかかります。時間に余裕を持って計画的に取り組んでいくことが大切でしょう。