経営者が社会保険に加入すべき必要性

経営者の保険

社会保険は働く者にとっては、社会生活を行う上でなくてはならものです。年金や医療保険が中心となりますが、経営者は自分だけの場合も、従業員の為にも加入しなければなりません。個人事業主を中心に社会保険への加入要件について紹介しましょう。

社会保険の種類について

病院で受診を受ける為の「健康保険」や将来介護が必要となる場合の「介護保険」、60才を過ぎてから老後の生活資金の為の「厚生年金保険」等、3つあります。

会社の形態によって加入する保険の名称が異なってきます。公務員は「共済組合保険」に加入しますが、会社員は「社会健康保険」となり、個人事業主は「国民健康保険」になっています。40才以上になると介護保険に加入が義務付けられており、年金の場合は会社員や公務員が加入する「厚生年金」と、一般の人が加入する「国民年金」があります。

<社会保険の加入によるメリット

社長一人の会社であっても、社会保険に加入する必要がありますが、意外にも経営者にもメリットがある事がわかります。

【1.社会保険の加入が「収入保障保険」と同じような効果がある】
社会保険の種類を説明しましたが、ほとんどは厚生年金と健康保険で構成されています。健康保険の場合には、病気に対する医療費の負担を軽減する事だけでなく、民間の保険会社にある収入保障保険のように万一の場合の保障の役割になっています。

経営者だけの会社の場合に、万一病気で勤めが出来ずに収入がなくなってしまいます。その時には、健康保険の「傷病手当金」という制度によって、今までもらっていた役員報酬にたいして3分の2については支給されるのです。期間は、最大の場合で1年6か月にも及んで支給が可能です。

【2.障害や死亡に対して保証額が増える】
役員報酬の額によっては、社会保険の手厚い保障を受けられる利点があります。起業したばかりの会社で役員の報酬が10万円程度しか収入がない場合には、厚生年金の保険料は月額17,934円(2018年当時)です。

会社と支払いの負担を半々となるので、同じ年の国民年金では、個人負担額が月額16,490円なので、個人だけが支払う額を比較しても半額の約9000円で済むので保証による影響はないのです。遺族厚生年金は子の無い配偶者にも支給されますが、遺族基礎年金は子の無い妻には支給されないのです。

受給額による厚生年金に加入のメリットは、国民年金に比較しても「国民年金が平均月額で5万5000円、厚生年金は14万7000円」(2018年調べ)

【3.倒産した場合のリスク回避】
経営者は会社の為にどんなに尽力しても、倒産の危機が確実に回避できるとは、限らないのです。経営者が倒産に対する責任を負担する事になってしまうのです。中小企業では、経営者(社長)が連帯保証になる事や合同会社の場合には、経営者が無限責任を負う場合もあるのです。

最悪の場合に、自己破産も考えねばならないのです。しかし、社会保険の保険料が支払い終わっていれば、受給できるので安心です。おなじように、自己破産に対する対策としては、確定拠出年金の拠出金や小規模事業主共済の掛金も加入する事で、自己破産の対抗策となるのです。

雇われ社長や会社役員が加入すべき保険

会社役員と言われる社長(雇われ社長含む)などは、雇用保険に加入する事が出来ません。会社経営のリスクに備える為には、社会保険だけでは万全ではないのです。雇われ社長などや役員に対しては、「中小企業退職金共済」に加入する事で、責任による解雇に備える為には、加入する事をおすすめします。

まとめ

社会保険の支払いは、自分や社員の為とは言え負担額を考えると大きな出費ですが、保険とは自分や社員とその家族を守る為にあるものです。経営者の責任に関しては、倒産のリスクにも備えるべきです。出来れば、民間の保険会社にも加入しておけば、さらにリスクを軽減できるので検討する価値があるのです。