経営者必見!労働問題で実際にパワハラと認められた裁判例

経営者のリスク

近年、企業と労働者の間で様々な労働問題が発生し裁判に発展するケースも少なくありません。会社は常に従業員に訴えられるリスクがあることを理解し、実際にどのような裁判例があるのか知っておくことが大切です。

【どのようなケースで労働問題が発生する?】
労働問題には様々なものがありますが、近年増加しているパワハラについて、焦点をあててみましょう。
パワハラは、職場での地位や、優位性を利用して上司や、先輩、経営者などが従業員に対して行う行為を言います。
その立場や、権力を利用し従業員が「断ったら何をされるかわからない」「会社の評価に悪影響を与える」「会社に居づらくなる」などの無言の圧力を受け、パワハラに抵抗する事ができない状態になるのです。
パワハラは、相手の人格を否定したり暴言を吐くことで著しい精神的苦痛を与えることも考えられます。些細なミスを挙げて、何度も必要以上に叱責したり、多くの従業員の前で土下座を強要したりする行為はパワハラと認定される可能性があります。

【パワハラの判例】
平成25年4月25日に判決が下った「親和産業事件」についてみてみましょう。
会社は、大卒者のA氏に対して2か月間の退職勧奨を行いましたが、本人がそれを拒み続けたため営業部の管理職から倉庫業務に降格をさせました。大卒者が倉庫業務に就いたという前例は今までなく、給料も管理職の頃の半分程度に減りました。
会社側からの一方的な命令、退職勧奨、不当な降格など多くの問題がありましたが、大卒者が就いた前例のない倉庫業務に就かせたことは要求型のパワハラであると言えます。
判決は、降格については社会的相当性を逸すると考えられ無効になりました。更に差額分の給料の支払い命令、賞与の8割の支払い、精神的苦痛に対して慰謝料50万円の支払いを命じました。

【パワハラの主な類型】
パワハラには具体的にどのような類型があるのでしょうか?主に下記の6つがあげられます。

・身体的侵害
目に見えて分かりやすい暴力や、傷害のことで殴る、蹴る、突き飛ばすなどがあります。身体的侵害型パワハラになります。

・精神的侵害
脅迫、名誉棄損、侮辱などの精神的侵害は典型的なパワハラです。

・人間関係の切り離し
無視、仲間外れ、連絡網を回さない、などは度が過ぎるとパワハラになる可能性があります。

・過大な要求
達成不可能なノルマを課せることで、職場環境を害している場合過大な要求によるパワハラと認定されます。

・過小な要求
程度の低い仕事を与え続ける、お茶くみやコピー取りなどの単調な仕事ばかりさせて降格をさせる、などの場合はパワハラになります。

・個の侵害
仕事以外のプライベートなことに踏み込んでくる、結婚、出産など女性に対する個の侵害はセクハラとなる場合もあります。
上記のようにパワハラは、様々なケースで起こります。企業はひとたび裁判に発展すると、企業イメージの低下、慰謝料の請求など様々なリスクがあります。経営者や上司は従業員に訴えられるリスクもある事を十分に理解して度が過ぎる行為は控えるようにしましょう。