常時1人でも働いている事業所であれば法人、個人問わず雇用保険に加入する事が義務付けられています。
ここで疑問なのが、会社役員と言われる社長(雇われ社長含む)、専務、取締役などは雇用保険に加入する事はできるのでしょうか?
またもし加入できない場合はどのような措置が取られるのか見てみましょう。
【役員の雇用保険】
役員として登記されている人で次のような人は被保険者になれません。
・代表取締役
・専務取締役、常務取締役
・監査役
一般の取締役も原則として被保険者になれませんが例外として兼務役員は被保険者になる事ができます。
(兼務役員とは役員であって同時に工場長などの従業員としての身分のある人を言います)
また監査役も被保険者になれませんので注意しましょう。
【中小企業退職金共済】
雇われ社長などの役員に対する万が一の時の保障は「中小企業退職金共済」という保険があります。
大きな会社の雇われ社長などは退任時に「退職慰労金」を貰う事もありますが、中小企業の場合は家族経営である事が多く、役員自らも出資者であるケースが多い為解散時の対策としてはこのような保険を利用する事が望ましいでしょう。
この制度は役員に退職金や雇用保険の代わりとなる役割を持っています。特に中小企業では財務状態が良くない事が多く、解散時に分配金がない事があります。この制度はこのような場合の救済策として加入しておくと安心です。
【節税対策】
掛金は個人の給与から支払われ税制優遇を受ける事も出来ます。給与時は全額所得税の対象になりますが掛金分は減額措置が取られます。
支払う時には丸々所得になるのではなく支払い分の運用益金額に対して税制優遇措置があるため節税にもなるのです。
主に運用は国債、地方債などで行われかけている年数に応じて運用益も貰えます。定期として預けておくよりも随分とお得ですのでぜひ検討してみてください。
加入する時に一つだけ注意する点は年間の掛金に上限があり月額7万円、年に84万円までしか掛けられませんので気を付けましょう。
【まとめ】
雇用保険は事業所の被雇用者である従業員が加入する事ができる社会保険制度です。
ですから役員の場合は事業主との間に雇用関係がないため、加入する事ができません。
たとえ雇われ社長であっても役員は経営陣とみなされ雇用主側になるからです。
役員は万が一の時の為に従業員のように失業保険を貰う事は出来ませんので「中小企業退職金共済」などの保険に加入してリスクに備える事が必要でしょう。