役員報酬は、原則、年度を通じて一定となります。
もしも増やすときや減らすときには、株主総会で決定することが必要です。
法律や利益、従業員の心情など様々なことを加味した上で、役員報酬の適切な額を決定することが必要といえますが、税務上のルールなども踏まえて決めましょう。
そこで、役員報酬について、決め方のポイントや変更する場合の注意点について解説していきます。
役員報酬とは
「役員報酬」とは、会社役員に対して支払われる報酬です。
不当に高すぎる金額設定は、従業員の士気を低下させることにつながるため注意が必要といえます。
実際、法律でも金額などに関する決め方が規定されています。
役員報酬の決め方
役員報酬を決めるときは、役員だけで判断できず、以下の流れを経由して決定します。
①株主総会の決議
②取締役会の決議
③税務署への申請
定期同額給与は、事業年度開始日から3か月以内に決め、株主総会議事録を作成することが必要となります。
事前確定届出給与については、株主総会から1か月以内に税務署に届出ることが必要です。
なお、一人社長や小規模企業などは、総会開催を省略し書面のみの「みなし決議」で決定することもできます。
役員報酬を決めるポイント
役員報酬の額は、下記とのバランスを考慮した上で決めることが必要です。
・税金と社会保険
・同業種・同規模他社
・会社の損益状況
・社員の給与
相場に見合わない額で設定すると、役員報酬の額を知った従業員が不満を抱き、現場の士気を下げることになりかねません。
従業員の給料は安く、役員報酬は高額という場合は、役員ばかりが儲けることのできる会社とレッテルを張られ、離職率を上げることになってしまうでしょう。
役員報酬だけでなく、役員賞与についても注意が必要です。
役員賞与は損金算入できませんが、事前確定届出給与・利益連動給与の要件を満たせば損金として扱うことができます。
さらに役員のうち、部長や課長などを兼務する「役員兼使用人」の場合、報酬は役員報酬と使用人の給与に分けて計上してください。
賞与は使用人として受け取ることが可能となるため、事前確定届出給与の届出は不要です。
役員報酬変更における注意点
なお、役員報酬を諸事情により変更するときには、事業年度開始から3か月以内に変更しましょう。
ただしこれは例外的な措置であり、業績悪化などにおいて減額が必要なケースにおいて認められます。