事業承継を行う時には様々な資金面での問題が生じるケースがあります。このような事業承継においての問題に対して、現経営者個人でローンを組むことにより準備することも可能です。
事業承継で必要になる資金とは?
事業承継で必要な資金として、次のような資金が必要になると考えられます。
・後継者が相続により分散した自社株式、事業用資産などを買収するための資金
・後継者が相続や贈与により自社株式や事業用資産を取得した際の納税資金
・役員や従業員が株式や事業の一部を買収し事業承継を行う際の資金
・経営者交代で信用状態悪化により、融資条件や取引条件が厳しくなった場合の資金
事業承継資金に対しての低利融資と信用保証とは?
会社や後継者である個人事業主、もしくは代表者個人が必要な資金に対して、日本政策金融公庫などで低利融資制度が実施されています。
万一資金不足で円滑な事業承継が困難という場合には、このようなローン制度を活用することも検討しましょう。
事業承継資金の融資を可能とするケースとは?
融資を受けることができるのは次のようなケースです。
・会社もしくは個人事業主が、後継者が不在という理由で事業を継続することが困難な会社から、株式や事業の譲渡などで事業承継するケース
・会社が自社株式や事業用資産を株主から買い取るケース
・後継者である個人事業主が事業用資産を買い取るケース
・経営承継円滑化法による認定を受けた会社の代表者個人が、自社株式や事業用資産を買収するケースや、相続税や贈与税の納税を行うケース
経営承継円滑化法に基づく認定とは?
事業承継に伴って低利融資を利用したいという場合、さらに信用保証協会の通常の融資枠とは別枠で保証を受けたいという場合には、都道府県知事から経営承継円滑化法に基づく認定を受けることが必要です。
また、この認定とは別で、金融機関や信用保証協会による融資の審査が実施されることは理解しておきましょう。
どのくらいの融資を受けることができる?
経営承継円滑化法による認定を受けた会社の代表者個人が、金融機関から事業承継資金の融資を受ける場合、信用保証協会の保証枠は別枠で用意されています。
また利率については、例えば株式会社日本政策金融公庫の中小企業事業の場合でみると、融資限度額7億2千万円(運転資金は4億8千万円)、融資利率は通常1.21%が基準利率ですが0.81%の特別利率が適用されます。(平成29年4月現在で融資期間 5 年のケース)
さらに付加価値額が前期より増加している認定中小企業者の場合は、付加価値向上計画を作成し新たな雇用を見込むのであれば0.56%の特別利率(平成29年4月現在で融資期間5年のケース)が適用されますのでさらに低利で融資を受けることができるでしょう。
また、適用利率は担保の有無を含む信用リスクなどに応じて所定の利率が適用となります。
まとまった事業承継資金が必要な場合は…
このようにいざ事業承継でまとまった資金が必要という場合には、ローン等を組むことで準備することも可能です。低利融資のため計画的に返済していけば、事業の負担にもなりにくいため検討してみると良いでしょう。