企業紛争の代表は訴訟手続
裁判で代表的とも言える手続は訴訟手続です。企業に関係する裁判紛争の中でも訴訟手続は決して少なくありません。民事訴訟は権利義務関係を争う裁判手続です。裁判所は当事者同士に不公平が出ないようにあくまで中立の立場で指揮監督を行います。当事者が裁判所にどのように判断してもらいたいかを決定して訴え、認めてもらうように主張と立証を行うということになります。
訴状の提出
裁判所に訴えを提起した当事者は「原告」、訴えを提起された当事者は「被告」となります。訴えを提起するために、裁判所に訴状を提出します。裁判は原告が裁判所に「訴状」を提出し事件として扱われ事件番号が決定します。もしも訴状に不備があれば補正が命じされますが、補正されない場合には訴えが却下される場合があります。
第1回口頭弁論期日の指定と呼び出し
訴訟提起から約1か月後あたりに裁判所が第1回目の口頭弁論期日が指定され法廷への呼び出しがあります。被告に対しては、訴状の副本と口頭弁論期日の呼出状が送達されます。第1回口頭弁論期日では原告の訴状の陳述が行われます。第1回目の期日に限っては、訴状に記載された事実関係の認否や主張を述べた答弁書を被告側が提出することでその内容が主張されたと扱われます。そのため被告は欠席をしても不利益はありません。
続行期日
第2回目以降は原告と被告が互いに主張や証拠を書面で提出していきます。双方の言い分が出揃い、裁判所が提出された主張や証拠を整理していきます。弁護士を雇っていれば裁判の期日には弁護士が出廷することになるため、本人は原則尋問期日以外、出席しないことになります。
証人・当事者尋問
主張や証拠が出揃い争点についてのどちらの言い分が正しいのかを明らかにするために、証人や当事者の尋問が行われます。弁護士や裁判官が一問一答で質問に質問を重ねる形で行われます。
判決
判決期日には原告も被告も出席する必要はありません。裁判所は双方の言い分を確かめて証拠に基づいた法律に照らし、原告の請求もしくは被告の主張のどちらが正当であるかという判決を言い渡します。判決によって第1審で敗訴した当事者は、判決を不服とする場合には第1審が地方裁判所で行われたのなら高等裁判所、簡易裁判所であれば地方裁判所へ控訴することができます。
判決に納得できない場合
控訴しない場合には、判決を受け入れることとなり判決内容を実現する必要があります。内容が任意に実現されない場合には、勝訴を得た当事者は裁判所へ強制的に実現を求めることになります。また、訴訟の途中で和解の話し合いもなされます。和解に場合は早期解決が可能なことや、判決では決定できないことでも和解条項には含めることができるというメリットもあります。和解が成立すれば訴訟手続は終了し紛争は解決します。
裁判では多くの時間と労力、そして費用を消費する
当事者同士が話合いできなかったり譲歩しない場合には、裁判という法的処置を検討せざるを得ないでしょう。しかし、裁判手続は通常1年以上期間がかかるため、時間と労力、そして費用を消費します。できるだけ和解などで話を進めるほうが時間も短縮でき、費用的にも負担が少ないでしょう。もしも訴訟などになった際には莫大な費用が発生しますので、万が一に備えておくことも検討しましょう。