職場で労働災害が起こった場合、まず事業者は何をすれば良いのでしょう。労働災害の知識が薄く、被災労働者や会社までもが不利益を被ってしまうことになれば会社のために働く社員を守ることはできなくなります。
そのため労働災害とは何か、そして実際に起きた場合にはどのように対応すべきかを理解しておきましょう。
労働災害とは?
労働災害とは、労働者が業務上、もしくは通勤途上でケガや病気、障害、死亡という状況になった場合の災害です。業務上での災害は業務上災害、通勤途上での災害は通勤災害に分類されます。
また、労働災害が労災保険の当事者である国や事業主、被災した労働者以外の人といった第三者の不法行為で起きた場合には第三者行為災害というものになります。
労働災害と認められるケース
労働災害に該当するケースとは、業務と労働者のケガや病気、障害、死亡という状況の間に因果関係があると認められる場合です。
因果関係については、使用者の支配管理下で就業している状態で起きた事故なのかという点と、業務と死傷病などの間に一定の因果関係があるかという点の2つを主な基準として判断されます。
労働者の過失による災害は?
労働環境は危険度が高く常に危険にさらされていると考えられます。そのため、被災労働者や同僚などの過失によって起きた事故の場合でも、業務の遂行性や起因性が認められれば労働災害に該当することになります。ただし故意や重大な過失の場合にはこの限りではありません。
労働災害が起きた場合の対応
実際に職場で労働災害の事故が発生した場合、まずは被災労働者の治療が最優先になります。被災労働者は労災指定病院にて治療を受けるようにしましょう。
重大災害であれば救急車や警察、労働基準監督署への連絡を行い、その後の処置について指示を仰ぐ必要もあります。
災害事故の事実関係を把握
誰がいつどこで災害事故に遭ったか、なぜ災害が起きたか、事故を見ていた人などについて確認します。
のちに労災申請書類を記載する時に必要になる情報ですし、労働災害の認定だけでなく保険給付に関する申し立てや警察官などの捜査など様々な場面で必要になる情報です。
保険給付の手続き
労災保険からの給付については、被災労働者もしくは被災した人が亡くなった場合にはその遺族が提出する申請が多くなっている傾向です。
ただしスムーズな給付手続きのためには、会社の証明や添付書類なども必要となることも踏まえて会社が手続きを行うようにしましょう。
労働安全衛生上の管理は十分?
労働災害が起きた場合には、労働基準監督署長が労災として認定する前に事故現場への立ち入り調査や、被災労働者の治療にあたった医師への意見聴取などが実施されます。
事故の規模が大きくなれば、労働安全衛生法違反事件かの捜査も開始されますので、業務上過失致死傷事件の場合には刑法に触れることになるため捜査に応じる必要があります。
事業場に安全衛生上の不備がないかなど、労災事故が起きてしまう前に今一度管理体制などの確認をしておくようにしましょう。