経営者からの事業承継にかかる相続税を軽減する方法とは?

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事業承継を考える上で納税の負担が気になる経営者もいると思います。自社株式の価値が上がることで納税額が高額になるかもしれないという不安や、納税資金の負担で事業継続に不安を抱えるといった場合もあるでしょう。
そのため事業承継が円滑に行われるために自社株式の相続税や贈与税の納税猶予・免除を受ける特例制度が設けられていますので、内容を理解しておき税負担を軽減してスムーズな事業承継を行いましょう。

納税猶予制度の内容とは?
現経営者の相続や遺贈で後継者が取得した自社株式の80%部分については、相続税が猶予および免除となります。また、贈与で後継者が取得した自社株式にも贈与税が猶予及び免除されます。
平成27年1月以降の相続や贈与は、親族外の後継者でも適用されます。また、対象となる自社株式は後継者が相続や贈与を受ける前から保有していた分も含めて発行済議決権株式総数の3分の2までと定められています。

納税猶予の制度を利用するための要件
納税猶予の特例制度を利用する場合には要件が設けられており、要件を満たすことが必要です。

・会社の要件
まず中小企業者であり、上場会社や風俗営業会社ではなく、資産保有型会社などに該当しないこと、さらに従業員が1人以上であることが要件です。

・資産保有型会社とは?
総資産のうち非事業用資産割合が70%以上の会社、および総収入金額のうち非事業用資産の運用収入割合が75%以上の会社が資産保有型会社です。ただし事業実態があると判断される一定要件を満たす場合には該当しないケースもありますので確認が必要となります。

・現経営者の要件
会社の代表者で、相続開始直前や贈与直前に現経営者とその親族などで総議決権数の過半数を保有し、さらに筆頭株主だったことが要件です。
また、贈与税の納税猶予を利用する場合には、贈与時に役員退任が要件に加わります。

・後継者の要件
相続開始直前に役員で、相続開始から5か月後に代表者であること、贈与税の納税猶予を利用する場合には贈与時に20歳以上、さらに贈与直前3年以上役員だったことが必要です。また、筆頭株主であることも要件となります。

納税猶予を続けるためにも要件が必要
さらに納税猶予を続けるため、申告期限後5年間は次の要件も必要なります。
・後継者が会社の代表者で筆頭株主
・雇用の8割以上を維持している
・猶予対象株式を継続保有している
・上場会社、風俗営業会社、資産保有型会社等に該当しない
これらを満たさない場合は全額あるいは一部の納付が必要となります。5年経過後は、猶予対象株式を継続保有していることで譲渡株式の割合分だけ納付、資産保有型会社等に該当しないことで全額納付となります。

納税猶予制度の内容の確認を
事業承継に対する納税負担が重いと感じ、スムーズに承継が進まないという場合にはこのような猶予制度があることを知っておくことで円滑に進めることができるでしょう。