経営者必見!事業承継で行う事業の譲渡と労働契約の承継について

事業承継・相続

事業譲渡は、現経営者から後継者が事業承継をする際に行う事で、その一部または全部を譲渡しますが、事業譲渡は合併とは異なり権利義務を包括承継するのではなく、各財産の中から、承継すべき権利義務の範囲を決定し、個別契約によって承継することを言います。

【事業承継と労働契約】
事業譲渡における労働契約についても、個別に特定承継する事になります。譲渡した会社の労働者の労働条件が、譲受会社にそのまま承継されるかどうかは両社の合意によって行われます。両社間で、労働契約の承継について合意が成され、当該労働者も労働条件に同意をした場合は労働契約が承継されることになりますが、一方の企業が同意しなかった場合は労働条件の承継はされません。

【労働条件の変更・解雇】
上記のように事業譲渡によって労働条件が承継された場合も、具体的な労働条件の内容については、譲渡会社の規定がそのまま引き継がれるわけではなく、譲渡会社と社員の間で変更する事ができます。
一般的には、転籍と譲渡会社での労働条件について同時に同意を求める事になります。
譲渡会社は社員が労働条件について同意を得られなかった場合は、拒否したことを理由に社員を解雇する事は出来ませんので気を付けましょう。

【労働条件の引継ぎ】
事業譲渡をする場合、労働条件の引継ぎという問題がありますが譲受会社が事業譲渡という方法を選択した場合、譲受会社は転籍者に新会社における新条件を適用する事を望んでいます。ですから、契約の交渉にもそれを前提とした話し合いが行われる事になりますが、雇用条件が急激に悪化した場合、転籍してほしい人に転籍してもらえないリスクもあります。
このようなリスクを回避するために、特定の期間が経過するまで旧会社の雇用条件を上回る条件で契約をする事などを約束しておく方法が有効でしょう。
事業譲渡後のリストラなどが想定されるM&Aにおいては管財人や、代理人からスポンサーに対して、「新しい会社では、最低1年間は直近1年間の平均的な給与を支給する」などの条件を細かく決めて契約をする必要があります。
また退職金については、譲渡会社を退職する時に精算し、譲受会社の退職金の支給規定に従うのか、譲渡会社での退職金の債務について、譲受会社を退職時にまとめて支払う形にするか、はっきりと決めておくと後のトラブルを未然に防ぐ事ができます。
このように、事業承継時の事業譲渡については労働者との引継ぎや、雇用条件などを明確にしておくことが大切になります。