経営者の多くは事業を承継する場合、誰にどのように承継するか、また承継時になるべく負担の少ない形で承継したいと思っているのではないでしょうか?事業承継については、早い段階から適切な対策をとれば確実に相続税を節税することができるのです。その方法について詳しくみていきましょう。
【事業承継対策の2つの意味】
事業承継には、大きくわけて2つの意味があります。一つは、「後継者問題」でもう一つは「事業承継時にかかる相続税の問題」です。
後継者問題とは、後継者を誰にするか、いつ、どのように承継するか、また後継者をどのように育成していくかなどの問題です。
相続税問題とは、経営する会社の所有権を後継者に譲る場合、多くは非上場株となっておりこの株式には財産的な価値があるため相続税の対象になります。また、非上場株は基本的に現金化できないため、株式の相続税評価が高くなり、納税資金が不足するというリスクがあります。
【非上場株の納税猶予の適用】
事業承継時に発生する相続税の資金不足対策として、「非上場株の納税猶予の適用」を検討してみましょう。
これは、非上場株を現経営者から承継した場合にその会社の経営を引き続き行って行く場合は承継する非上場株のうち80%の相続税の猶予が受けられるという制度のことを言います。
これは、事業承継における大きな節税効果のある特例制度となっていますので、ぜひ活用しましょう。
【特例を受けるための条件】
この制度を受けるための条件として下記のようなものがあります。
(会社の要件)
・常時雇用する従業員が1名以上いる
・資産保有型または資産運用型会社ではないこと
・相続開始から8か月以内に経済産業大臣の認定を受けること
(相続人、被相続人の要件)
・被相続人が過去に代表者であったこと
・相続人である後継者が相続開始の直前に役員であること
・相続開始後5か月以内に相続人である後継者が代表者になること
これらが主な条件になりますが、実際にこの制度を利用する場合は詳細な要件や手続きが必要になりますので顧問税理士や相続税に詳しい税理士に相談をしてアドバイスを受けるとよいでしょう。
この他にも、相続税を節税するために役員の退職金で会社の利益を減らしたり、投資不動産の購入で資産および利益の圧縮、損金性の高い保険に加入し利益を圧縮したりして、非上場株の相続税評価を引き下げるという方法があります。
このように事業承継時には様々な方法で相続税の節税をすることができます。これらを活用して、事業承継時の相続税を節税しましょう。