有効求人倍率が1.0倍を大きく上回り、人材不足課題の顕在化が進んでいますが、2030年にはさらに人手が足りない状況へと陥り、その深刻さが増すことが予想されています。こちらでは、人材不足が経営課題に及ぼす影響と今から始められる対策についてみていきましょう。
経営課題:人材の強化の重要度が高まる
経営課題として企業が重要視する項目を順位づけすると、第1位「収益性向上」、第2位「人材強化」、第3位「売上・シェア拡大」の順位となっています。
働き方改革による生産性向上や多様な働き方への対応のみならず、中長期的な事業の成長を支えるためにも、人材確保・育成、社員の意欲向上を重要視している企業も増加してきています。
企業が成長していく段階での人材確保、育成はなくてはならないもので、今後の企業の経営に影響が出てくる課題です。その影響を具体的にみると、「人材採用難」と「人件費高騰」となっており、経営において人材不足が深刻化していることが浮かび上がります。
また、1人当たりの生産性が低下していることも経営課題の1つであります。これは2008年に起きたリーマンショックが影響しているとされており、リーマンショックは日本において企業の生産性が低下し、景気後退を余儀なくされました。
大企業や一部の業界では景気回復していますが、中小企業はいまだ回復の兆しがみられていないのも現状です。企業におけるコストの大半は人件費です。社員1人ひとりの生産性が低いままでは、会社経営として問題があります。
経営課題と戦略的に戦う
人材不足が続く中、働き手の確保だけでなく”収益性向上”へも企業は力を入れなくてはいけません。では、企業はどのようにその課題と向き合うことができるのかを、こちらからはみていきましょう。
企業の”生産性向上”に向けては、業務のやり方を工夫することで、適正な人員数を再定義できる可能性があります。そのために「ITや設備の導入といったハードの取り組み」や、「個々の能力を引き上げる人材育成や業務フローの見直しを行う、ソフトウェアの取り組み」に力を入れる企業も増えてきています。
人材確保のノウハウ
必要な人材を充足させるための対策として行う方法には「中途採用の積極化」や「働く女性の積極活用」、「働くシニアの積極活用」または「クラウドソーシングの積極活用」などがあります。
また、テレワーク等勤務場所の柔軟性、雇用形態、新しい働き方に対応した人事制度対応なども今後は視野に入れて検討をしていかなければならない状況になるといえるでしょう。
まとめ
バブル崩壊後、企業を取り巻く環境は激変し、その後のITバブルの崩壊やリーマンショック、東日本大震災などの影響もあり、日本企業の経営課題は複雑さを増しています。その中でも人材に関する課題は多様にありますが、戦略的に取り組むことでクリアしていけることでしょう。