最新!平成29年度事業承継税制改正に関するポイント

経営者のリスク

平成29年度税制改正において、事業承継税制内の雇用確保要件が緩和される事になります。事業承継税制とは、経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式などを後継者が、現経営者から相続または贈与によって取得し、一定の条件を満たした場合相続税、贈与税の納税が優よされる特殊制度の事を言います。
経営者の方は勿論ですが、後継者の方も知っておくと納税面で有利になる事がありますのでぜひ知っておくとよいでしょう。

【適用を受ける為の要件】
この特例を受ける為の要件の一つに、雇用確保要件があります。
今回雇用確保要件について今までよりも緩和され、事業承継税制の適用を受けたのち5年間、従業員数を相続、贈与時の平均8割以上維持するという事になっています。
もし維持できなければ、相続税、贈与税の猶予は打ち切られる事になりますので注意が必要です。
また現行では、従業員数に80%をかけたものが、1人未満の場合は切り上げになっていましたが、改正案では切り捨てになってしまいますのでその点も気を付けましょう。
この要件緩和により、特に恩恵を受けやすいのは従業員数の少ない小規模事業者です。
これによって、今まで事業承継税制を適用できずにいた経営者や後継者も、この新制度を最大限に活用する事ができるようになりました。本改正は、平成29年1月1日以降の相続または贈与時に取得する財産によって課税対象となる相続税、贈与税から適用される事になっています。

【生前贈与の税制優遇】
事業承継税制の中でも、大きなデメリットとなっていたのが、贈与時に猶予の適用を受けても途中で要件を満たさなくなった場合に取り消される事でした。
要件が満たされずに取り消された場合、後継者は高額な贈与税を支払う事になりその支払いが重くのしかかり経営を圧迫する事もあるのです。
このような問題に対し「相続時加算課税」との併用が認められるようになりました。相続時加算課税とは、贈与税額のうち最大で2,500万円までを控除する事が可能で、それを超えた部分については超えた金額の20%の贈与税を支払えばよいという制度です。
これによって、要件を満たさずに途中で取り消された場合にも、後継者は高額な税負担をせずに済むようになりました。

【まとめ】
今回の税制改正では、経営者の高齢化、後継者への税負担の軽減などに配慮し事業承継がスムーズに行えるように主に2点について拡充がされました。
今後は生前贈与する事で税制優遇を受けられるので、今まで先延ばしにしていた事業承継についても早期に取り組む事ができるようになるでしょう。