社長の監督者責任とは?その意味と発生するタイミングを解説

経営者のリスク

未成年や高齢者などが身近にいる方にとって、「監督者責任」について理解しておくことは必要ですが、会社経営する社長も他人事ではありません。

故意または過失で他人に損害を与えたときには損害賠償責任を負うこともありますが、本来、この責任はその行為を行った本人が負います。

ただ、危害を直接加えたわけではないのに、監督義務者がその責任を負う監督者責任を問われるケースもあるため、その意味と発生するタイミングについて理解を深めておきましょう。

監督者責任とは

損害を発生させた本人を監督しなければならない人が負う責任を「監督者責任」といいます。

本当であれば、損害賠償責任を負うのは損害を発生させた本人ですが、責任追及が妥当でない場合や救済を十分に得ることができないケースなど、その監督者が本人に代わって責任を追及されることになります。

その例が未成年者であり、判断能力が十分とはいえないため、賠償責任を負うことはないと民法で定められています。

成年である場合でも、精神上の障害を抱えていることで十分な判断能力がないときには、未成年者と同じく損害賠償責任を負うことはありません。

しかし被害を受けた側が損害賠償請求する相手を失うことになれば、損害を受けているのにもかかわらず救済を受けることもできなってしまいます。

そこで、民法により次のように監督者責任について規定が設けられているといえるでしょう。

・監督義務者はその者が直接危害を加えていなかったとしても賠償責任を負う
・監督義務を怠っていないか、義務を果たしたか関係なく損害が生じた場合には賠償責任を免れる
・これらの挙証責任は監督義務者にある

本来、不法行為に関しての挙証責任は被害者にありますが、監督者責任では挙証責任が監督義務者に転換されます。

そのため賠償義務を負わない証明を監督義務者が行うことが必要となります。

ビジネスにおける監督者責任

ビジネスで監督者責任が発生することがあり、その例として挙げられるのが部下を監督するべき立場にあった上司の責任などです。

法的な不法行為責任ではないものの、たとえば部下が起こした不祥事について、上司の管理監督者責任が追及され懲戒処分が決定するといったケースもあります。

これは民法上の監督者責任ではなく、就業規則などが根拠となる責任問題であるため、就業規則などで懲戒事由や処分について定めがあることが必要となります。