企業の経営者や代表者が病気で倒れて仕事が出来なくなった場合、事業運営が停滞しないように、病気や事故に備えて代行者を立てておく必要があります。前もって代行順位などをきめておけば、治療に専念でき復帰時に特別な手続も必要ありません。事業運営をスムーズに続けられ、ビジネスが成り立つような体制を組み立てることが何より大事です。
では、どのような病気の原因やリスクがあるのでしょうか。
仕事による病気の原因
現代の日本における健康状況
現代の日本における働き手の健康状況は、仕事や職業生活で強い不安や悩み、ストレスを感じる等、健康に何らかの支障をきたす可能性があると言われています。
実際に病気になった人は、心筋梗塞や脳梗塞など「脳・心臓疾患」を発症するものが増加傾向になっていて、死亡になる件数も増えています。「精神障害」によるものも、仕事によるストレスが原因で年々増加傾向にあります。自殺・自殺未遂数も同様です。
病気の原因が「仕事」による人の特徴
2016年度の厚生労働省「過労死等の労災補償状況」調査結果で、「脳・心臓疾患」の労災支給決定件数の多い業種は「運輸業、郵便業」37.3%、職種別で「輸送・機械運転従事者」が34.6%を占めています。
「精神障害」労災支給決定件数が多い職種は「製造業」18.3%、「医療、福祉」16.1%、職種別では「専門的・技術的職業従事者」が23.1%を占め、発症する人が「脳・心臓疾患」と「精神障害」は特徴が異なります。
就労形態別にみると「正規職員・従業員」の比率が圧倒的に高く、長時間労働になりやすいこと、仕事内容や職務量でコントロール出来ないところで変化しやすいことが理由と考えられます。
「正規職員・従業員」と「自営業者」では、労働時間の調整や健康管理で立場が異なる為、業務上の病気にかかるリスクも変わってくると思われます。
経営者の病気によるリスク
売上減少に影響
経営者が突然不在になったら会社はどうなるでしょうか。営業や業績、売上の中心人物不在の中小企業は売上に大きな影響が出て仕入れ資金や社員の給与、借入金の返済などの固定費の支払い継続が厳しくなり、倒産の可能性が高くなります。
就業復帰不可能な疾病の影響
健康で体力のある人でも、病気になる可能性はあります。原因として、「悪性新生物(がん)」「急性心筋梗塞」「脳卒中」「肝硬変」「慢性腎不全」などの生活習慣の乱れからくる疾病があり、働けなくなる状態のリスクはあります。
復職への影響
保険会社による調べで「完治していないがやむを得ず働いている」と半数以上が回答し、54.8%の回答者は「復職はしても以前のようには働けない」戻ってきても休職前と同じようには活躍発揮が出来ないと答えています。無理な復帰で病気が長期化する可能性があり、就業復帰対策として療養する時間を設けることも検討する必要があります。
経営者の準備資金
経営者の事業保障準備金
中小企業にとって、大黒柱の経営者がいなくなったら、会社の業績は悪化し、借入金の返済等が苦しくなる可能性もありますので、経営危機を第一の目的に経営者保険(事業保障)に加入する事で業績悪化のダメージを抑え赤字の危険に備えることができます。
赤字に備える資金繰り
次の役員保険は、「資金繰り」に役立つ保険です。
・逓増定期保険
・全額損金定期保険(「生活障害保障型」、「災害保障型」など)
・期平準定期保険
以上の3つは保険料を払うことで会社の経費(損金)になるので法人税が抑えられ、赤字に備えられる機能があります。
経営者の退職金を効率よく積み立てる
保険料を払い込むと、全部(全額損金タイプ)または一部(1/2、1/3損金タイプ)の税金が抑えられ逓増定期保険や長期平準定期保険、全額損金定期保険は退職金を効率よく積み立てるのに役立ち、解約すると解約返戻金が受け取れるので退職金に充てることができます。
多額の退職金を支出すると損金が出て赤字になる危険性がありますが、解約返戻金の益金で補えます。
事業承継対策として相続税等の負担を抑える
株式の財産は、評価額が高いと、後継者は多額の相続税・贈与税を支払わなければなりませんが、法人保険に加入して保険料を損金に算入すれば、その分会社の資産がマイナスになって株式の評価額が引き下げられるので、相続税・贈与税も抑えられます。経営者保険で、会社経営を後継者に引き継ぐ「事業承継」時に、後継者相続税等の負担を抑えることに役立ちます。
まとめ
経営者が病気になると多くの損失が発生する可能性があり、後継者が決まっていても、十分な育成が行われていなければ事業継続が困難になり倒産の恐れもあります。
いつ起こるかわからない病気や事故に対する備えが大事です。