荷役作業で荷主が負う責任とは?的確なリスクヘッジのために

企業経営情報

荷役作業とは荷の運搬に伴って積卸しや構内などで荷物を運ぶ横持ち作業などのことを言います。

 

 

陸運業で起こる休業4日以上の災害と死亡災害(死傷労働災害)は約7割がこの荷役作業中に起き、そのうちの7 割弱は客先や輸送先の構内で発生しています。そして荷役災害が発生した際には、荷の運搬を発注する側である荷主等にも責任が発生する可能性があります。

荷役作業が複雑になる理由

 建設現場では元請、下請、孫請などの様々な業者がそれぞれの立場で並行的に作業に従事していますが、荷役作業現場も同様に1つの現場で異なる指揮命令系統下のもと、様々な人たちが作業に従事している状況です。そして荷の形状、重量、運搬方法なども様々です。荷の内容や受渡方法も急遽変更になるということもあるので、様々な荷役災害が発生する要因が潜んでいる状態と言えるでしょう。

荷役災害発生時の荷主が負う法的責任とは?

 事業者は直接雇用する労働者に対して災害防止の措置を講ずる責任を負っています。そのため労働災害が発生した場合には、労働安全衛生法違反で罰則を受ける可能性があります。陸運事業者の従業員(トラック運転者)の荷役災害についての責任は、直接の雇用者である陸運業者にあると言えますが直接的な雇用関係にない場合でも同義務違反に問われることがあります。

荷役災害に伴う荷主等の損害と対応策

 陸運事業者、荷主、配送先などの関係者が労働災害を発生させないように次のような流れで対応策を実施することが必要です。

・荷役作業のリスクの洗い出し

・リスクの発生頻度、損害の大きさの評価

・リスク対応の優先順位を決定

・リスク低減のための対応策の検討・実施

このような流れの中、再度どのリスクに対して対応ができていないか、改善する部分はどこかなど見直していく必要があります。

リスクヘッジに保険の活用

 災害発生を予防し対策も万全だったとしてもやむを得ない事故が起こる場合もあります。事故が発生し損害が生じた場合に対応できるように、損害保険を活用して経営に影響が及ばない資金の備えが重要となります。活用できる保険には、貨物の毀損に対しては荷主等が手配する貨物保険や動産総合保険、事業主が所有・使用している施設の設備機器に対しては機械保険、そして第三者に対する賠償責任は各種賠償責任保険などがあります。

もしも事故などが発生した時の備えを

 荷役作業によって発生するリスクを回避するためには、安全管理をしっかりと行い作業の環境を整備することが必要です。しかしいくら環境を整備し、体制を整えたとしてもおもいもよらない事故が発生する場合もあります。そのような事故が発生した場合に発生する責任や負担に対しての備えは行っておく必要があるでしょう。