労災給付の申請期限を過ぎると請求権は時効で消滅する?

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労災保険は労働者が業務上の事由や通勤などでケガや病気、障害、死亡といった状況になった場合に、被災した労働者や遺族を保護するために設けられた制度です。労災保険で保険給付を受ける権利は、一定期間行使しないままでいた場合時効によって消滅してしまいます。

 

 

一般的な債権であれば10年が時効消滅の期限ですが、労災保険の場合は短期間で時効が成立しますので注意しましょう。

時効が2年のもの

 ・療養(補償)給付(起算日は療養の費用の支出があった日ごとの翌日)

・休業(補償)給付(起算日は労働不能で賃金を受けない日ごとの翌日)

・葬祭料、葬祭給付(起算日は労働者が亡くなった日の翌日)

・介護(補償)給付(起算日は介護補償給付の対象月の翌月の1日)

・二次健康診断等給付(起算日は一次健康診断結果を了知し得る日の翌日)

時効が5年のもの

 ・障害(補償)給付(起算日は傷病が治った日の翌日)

・遺族(補償)給付(起算日は労働者が亡くなった日の翌日)

時効で消滅するものは何?

 時効によって消滅するのは、保険給付の支給決定を請求する権利です。そのため政府の職権決定で傷病補償年金及び傷病年金を受ける権利の場合は、給付決定請求権の時効は生じません。支給決定が行われた保険給付の支払いを受ける権利は、会計法の規定により5年で時効になっています。また、2年で時効になるものは障害補償年金前払一時金、遺族補償年金前払一時金、障害年金前払一時金及び遺族年金前払一時金の支給決定請求権で、5年で時効になるものは障害補償年金差額一時金及び障害年金差額一時金の支給決定請求権です。

退職した人が労災申請を依頼してきた場合はどうなる?

 例えば自己都合で退職した元従業員が、過重負荷による労働でうつになったことを理由に労災申請を希望してきた場合にはどう対応するべきでしょうか。退職前に業務の上で傷病が発生している場合には、退職した後でも労災申請ができることになっていますが労災給付には時効があります。療養(補償)給付と休業(補償)給付については2年が時効の期限で、療養(補償)給付は療養の費用を支出した日の都度その翌日から時効の計算が進行していきます。元従業員の病気(うつなど)の発生が2年前だったとしても、2年以内に権利が発生していて時効が消滅していない分については労災認定されるかどうかは別として請求可能ということになるでしょう。

労災の申請には期限がある

 このように労災給付には様々な種類があり、種類によって請求できる期限には時効があります。期限をすぎてしまうと権利が消滅してしまいますが、給付の種類によっては2年が時効のものと5年のものがあるので注意しましょう。