日本では、賠償責任保険においてその補償額は時価で決められます。賠償責任保険でいう時価とはどのような意味があるのか、また時価はどうやって決められるのかみてみましょう。
【時価とは】
時価とは、同等の商品を購入する場合その金額から経年や使用による消耗分を引いた金額を言います。例えば、自動車の場合は同一の車種、年式、型式、使用状態において同程度のものを購入する価格で計算します。
契約時の契約金額が時価の一定割合以上であれば、契約金額を限度として実際の損害額が支払われることになります。しかし、時価の一定割合を下回った契約では、損害額の全額は補償されませんので注意しましょう。
時価をもとに契約をする場合は、契約金額を時価額いっぱいに設定することが基本です。
【再調達価額とは】
再調達価額とは、同等のものを新たに建築あるいは購入するのに必要になる金額を言います。上記のように時価額いっぱいに設定しておいても、実際には年月の経過によって建物の時価は下がりますので、保険金だけで同じものを建てることはできません。このような場合は、再調達価額をもとに契約をしておくと、万一の場合にも契約金額を限度として実際の損害額が支払われますので安心です。
これは、火災保険についても同様で時価額を限度として契約をしていると使用による消耗分や経過年数分が差し引かれるというリスクがありますが、再調達価額で限度額いっぱいに契約をしておくと、建物が全焼しても保険で同等の家や工場を立て直す事ができます。
【時価額の査定が難しい場合】
損害賠償金は、法律上の損害賠償の額ということで、時価で評価する事になっていますが、自動車のように代替品がすぐに用意できない、工場の設備などに損害を与えた場合は、取り外し、運搬、修繕、元のところに運搬、取り付けなどの作業が必要になります。また、その間は当然工場の商品出荷などの仕事ができません。
このような場合は、損害を受けた物の代替品の購入費用、交換工事費用、修繕費用などに加え、稼働できなかった分の工場の売上などの補償費用、従業員の給料などを補償することになり費用は膨大になります。
保険価額の評価は、保険会社や代理店が行いますので自社の保険について適切な評価額が設定されているかもう一度確認しておきましょう。
また、万が一に備え保険金額無制限や、時価額ではなく再調達価額で保険契約をしておくようにしましょう。