事業承継の際の注意点や問題点などは多くありますが、今回は事業承継における事業用財産、事業用の不動産などを承継した場合の減価償却についての基本的な知識と会計処理についてみてみましょう。
【相続時の減価償却費の問題】
事業用の減価償却資産をその事業継続のために取得した場合、相続時には中古品を取得したとして減価償却すべきか、または被相続人が引き続き事業用として減価償却をすべきかが問題になります。
事業用の減価償却資産については、被相続人が引き続き事業用として、減価償却をしましょう。また耐用年数についても法人税法によると、前所有者による資産の利用期間と取得者による資産に利用期間を通じてそのまま引き継がれると、定められています。
では、被相続人によって生前減価償却資産を事業用として使っていたにも関わらず経費として、計上していなかった場合はどの様にすればよいのでしょうか?このような場合は、承継者が資産計上するのは勿論ですが、被相続人の取得費、取得時期、耐用年数等を前提に未償却残高を計算します。
また被相続人の所得税について申告期限から5年以内のものについては、是正請求を行う事もできますので覚えておきましょう。
【減価償却の方法】
減価償却の方法については、定額法と定率法というものがあります。実際に減価償却をする際には、法人税法によって資産区分ごとに下記の様に償却方法が決まっています。
・建物 定額法
・建物付属設備・構築物 定額法
・機械装置、車両運搬具、器具装備 基本的には定率法を用いますが、税務署へ届け出をすれば定額法を適用する事も可能です。
減価償却方法は、一度用いたものは、むやみに変更する事は出来ませんので、顧問税理士などに相談をして慎重に決める様にしましょう。
【耐用年数の決め方】
減価償却の計算をする上でポイントになるものとして、耐用年数があります。耐用年数は、
各資産の経済的な耐用年数を見積り、それぞれ設定する事が理想ですが実際には法人税法で定められた耐用年数を用いる事が多くなります。
法人税法では、それぞれの耐用年数が資産の用途や構造などによって細かく分類されています。耐用年数は国税局のホームページ等で確認する事ができますので、事業用の不動産や、事業用資産を購入した場合にはこちらを参考にして経費計上をしましょう。
【まとめ】
企業の減価償却費は、金額が大きく耐用年数も長期にわたり、企業経営や損益計算に大きな影響を与えます。耐用年数の決定や、減価償却の方法などは顧問税理士などに相談をして自社にとって最適な方法を選択しましょう。