経営者必見!事業承継円滑化法と相続税の納税猶予制度について

事業承継・相続

日本の9割以上が中小企業と言われています。中小企業の事業承継をスムーズに行えるように、平成20年に施行されたのが「中小企業経営承継円滑化法」です。
これによって、事業承継時の税負担や、遺産分割など相続時のトラブルを軽減し、事業承継を円滑に行えるようになりました。経営承継円滑化法の仕組みや、適用条件などを詳しくみてみましょう。

 

【経営承継円滑化法の納税猶予制度と適用条件】
経営承継円滑化法が施行されて以降は、相続で取得した自社株式の80%部分の相続税に納税が猶予されることになりました。
中小企業経営円滑化法は、平成20年に大まかな骨組みができましたが、適用条件等が厳しく利用できる企業はごくわずかでした。
またちょうどリーマンショックの時期と重なり、多くの企業は事業承継よりも、経営の立て直しに力を注いでいました。
このような背景を受け、平成25年に新しく改正がされ、納税猶予制度を利用するための条件等も緩和されました。

 

【平成25年経営承継円滑化法改正のポイント】
・経済産業大臣への事前確認の廃止
事業承継税制の適用を受ける場合、以前は経済産業大臣への事前確認が必要でしたが、平成25年改正以降はそれが不要となりました。

・親族以外の後継者の選任ができる
今までは、後継者を選任する場合親族である必要がありましたが、改正以降は社員や、取引先の人間など親族以外を後継者として選任することが可能になりました。

・代表者が退任しなくてもよい
今までは、先代は代表と役員を退任する必要がありましたが、改正以降役員として残ることができるようになりました。

・雇用維持
以前は、適用要件として5年間毎年以前の雇用の8割を維持する必要がありましたが、改正後は5年間の平均で8割を維持すればよいことになり条件が緩和されました。

 

【納税猶予に関する改正のポイント】
納税猶予制度に関する改正のポイントもみてみましょう。

・利子税の負担軽減免除
要件を満たさなかった場合相続税と利子の支払いが必要でしたが、事業を5年継続していたら利子が免除されることになりました。また、納税猶予額の全面免除は、後継者の死亡、会社の倒産のみ適用されていましたが、改正後は民事再生、事業再生にも一部が免除されるようになりました。
事業承継の準備には、最低でも5年は必要になります。しかし、多くの企業では経営者の高齢化が進んでいるのも現状です。早めに対策をしておかなければ、業績悪化や廃業に追い込まれるリスクもあることを経営者は十分に理解しておく必要があります。