我々は小さな頃から組織の中で生活をしている。一般的に学校で学び、会社に入るという流れは組織の中で生活をしていることを意味する。生活の糧を手に入れる為に必要な経営組織という存在は、どのようなものだろうか。今回は、経営における組織の考え方を通して、組織を動かしていく為に必要なことを見ていく。
■組織とは?
主に組織とは、下記のように大きく分けて2つに分けることができる。
・共同体としての組織(協力、利他的行動、自己犠牲)
共同体とは、シンプルにいえば自分で自由に決めることができない「メンバーになる」ことをいう。例えば、家族などの血縁関係が共同体としてあげられる。
共同体は、メンバーがお互いに助け合っていることで成り立っており、共有しているもの(財産など)をともに守ることで生活が成り立っている。その為、自分の事情(個人の事情)よりも共同体全体の事情を優先することになる。
・人工的社会(利益の追求、経済的見返り、自己権益の追求)
人工的社会は、個人でメンバーになるか決めることができる組織のことだ。具体的にいえば、学校を決めることや会社を決めるといったことがある。
この組織は、共同体とは違い「目的」を達成させる為に人工的に構成された社会だ。個人の意思で決められるということは、辞めることも自由である。
■組織における感情と意思決定
以上のことからわかるように、経営における組織とは「人工的社会」に分類される。その為、企業組織の目的を達成できない(目的の足手まとい)場合において、メンバーから外されることもある。
企業は利益を追求するものであるから、共同体としての組織(協力、利他的行動、自己犠牲)だけでは、目的を達成することは難しい。そこで、経済的合理性に基づいて行動していくことを求められてくる。
このように経営者になれば、組織とはどういうことを意味しているのか理解しておかなければ、目的を達成と自己犠牲などを混同してしまうことがある。
例えば、目的を達成する為にしなければいけないことを「同じメンバーにどう思われるか」=「自分だけ前にすすむとどう思われるか」という感情でブレーキをかけてしまう人がいる。それでは、目的を達成する為に行動することができなくなる。
だが、人にはこのような感情があることも理解しておくべきだ。経営者であれば、経営における組織は「人と人が作り上げている」ことを理解しておかなければいけない。人には感情があり、利益の追求だけをしていく機械ではないからだ。
これらを踏まえた上で、組織の意思決定の仕組みを把握することが大切だ。
・メンバーに特定の仕事を与えて注意をそこにむけて限定する
・標準的手続の確立により、意思決定の労力を節約する
・権限と影響の制度確立し、階層化することで意思決定を伝達する
・コミュニケーションの経路により、意思決定の為の情報を流通させる
・メンバーを教育することで意思決定の基準に関係する知識、技能、忠誠心を内面化する
経営組織における組織的な意思決定とは、
・本質的な意思決定(目的や方法などの政策的な計画の決定)
・手続的な意思決定(本質的な意思決定を実行する為の組織の機構やデザイン計画の決定)
・執行的な意思決定(先行する2つの意思決定に従って、その計画を執行する為の日々の決定)
の3つが基本となる。人にも感情があるということを理解した上で、目的を達成する為に経営組織における意思決定をしていく必要がある。その為にも、組織の意思決定の仕組みを理解し、実行していくことが求められるのだ。