経営者として理念を掲げることのメリットについて

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経営者が、設立した企業の在り方や存在意義などについて明示する経営理念。これを掲げることにはどのような意味があり、事業すなわちビジネスへの取り組み方や従業員の意識にどのような影響を及ぼすのでしょうか。見ていきたいと思います。

経営理念について

経営理念とは、その企業にとっての理想的な姿勢や方針について、象徴的に明文化したものと言えるでしょう。そこには、創業者や経営者がどのような思いで企業を創設あるいは運営しているのかということが表されています。

企業の活動目的について考えた際、直接的には多くの収益を上げるためという目的に行き着くでしょう。では、収益を上げるためなら、なり振り構わずどんな手段でも取るべきなのでしょうか? 答えは自ずと否となるでしょう。

収益獲得のみを目指し、他には目もくれないという姿勢では、顧客や取引先、ひいては働き手である従業員からの信用を失います。社会からその存在意義を疑問視され、極めて危うい状態に陥ってしまうでしょう。

企業を長く健全に継続させていくには、経営を通して社会的に有益な役割を担うことが第一と言えます。世の中に豊かさを還元させる事業に従事することで社会に受容され、信頼を獲得していけば、社会と企業の良好な関係が構築され、継続的かつ安定的に収益を上げていくことが可能です。

このような社会貢献に根ざして存在する企業の方が、収益のみを目当てとして手段を選ばないスタイルより、遥かに堅実かつ合理的な在り方と言えます。社会に貢献する企業であるとアピールする方法の1つが、経営理念に当たります。

経営理念の意義

大手企業の経営理念について調べると、そこにはある共通点が見受けられます。それは、いずれも社会貢献を謳う内容であること、お客様と従業員の双方に向けられたメッセージであること、という点です。そこには2つの意義が込められていると言えます。

まず1つ目には、社会貢献についてお客様や取引先などを始めとする社会に向けてアピールし、これを実践することで企業的価値を高めることが挙げられるでしょう。世の中にメリットをもたらす企業であることを経営理念という形で示すことにより、社会的な好感度を上げ、企業目的である収益獲得の継続性に結び付ける意図が伺えます。

2つ目として、従業員ならびに社員に向けて、行動指針を示すことが挙げられます。自分の所属する企業がどういう考え方で事業に取り組んでいるのか、それを周知させることによって、働き手1人1人にどのような姿勢で業務に臨むべきか促すことができます。

経営理念を従業員や社員に浸透させられれば、企業に属する1人1人が経営者と理念を共有する状態となります。そうなれば、働き手各々が自主的に経営理念に合致した判断による業務姿勢を取れるようになり、ひいてはそれが労働意欲の向上や業績UPなど、企業の発展に寄与することとなるでしょう。

これら経営理念の意義2点を鑑みれば、経営理念を企業メリットに繋げるための条件が浮かび上がります。それは、経営理念と企業の活動の双方が矛盾していない、ということです。
企業の実態が経営理念とまるで一致していない場合、社会的な信頼を得るどころか返ってこれを損なうことになりかねません。

また、従業員および社員の立場からは、経営理念に即した判断で業務を行ったにも関わらず全く評価されないという状況となってしまいます。そうなると、どのように仕事に取り組めば良いのかわからず、結果的に労働意欲の低下や業績悪化をもたらしてしまうことでしょう。

経営理念が有益な効果を発揮するには、まずはこれを充分に反映させた企業体制であることが求められます。

まとめ

以上のように、経営理念とは、経営者が自分の企業についてその在り方や経営姿勢について社会貢献に即して明示したメッセージであり、これを掲げる意義としては、社会的信頼性の確保と、従業員ならびに社員の労働姿勢の質的向上が挙げられる、ということについて確認してまいりました。参考にしていただければ幸いです。