経営多角化によるメリットは多くあるのだが、具体的に分からない方も多くいる。経営多角化をすることで得られるものやリスクを把握しておけば、今後の事業展開に生かすことが可能だ。今回は、経営多角化で得られるものを見ていく。
■経営多角化で経営損失を最小限に抑えられる
経営多角化で得られる最大のメリットは、時代の変化(消費者行動の変化)による企業収益の変動が低く抑えられる点だ。もし1つの事業しかない経営の場合、何かのきっかけで事業の収益が悪化した際に、企業全体の収益が悪化することになる。
例えば、A商品の普及にともなってB商品の需要が低下してしまえば、B商品のみ製造販売しているメーカーの企業収益は一気に悪化する。この場合、全く別の分野のビジネスに参入していれば、B商品の需要減少による経営損失を最小限に抑えることが可能となる。
経営多角化によるメリットは、1つの分野の事業収益の低下をその他の事業が支えることができる点だ。その他、経営(事業)多角化で手に入れられるメリットは下記となる。
・チャレンジする社風ができる
新たな考えに触れることで刺激となり、社員のモチベーションに繋がることが多くある。新しいアイディアやチャレンジをどんどんしていくことが可能だ。
・柔軟に対応できる経営ができる
安心できる経営にしていく為には、何が起こっても「なんとかなる」という気持ちが大事だ。それは、事業を分散している安心というのもあるのだが、人が育っているからなんとかなるという思いが土台にあるからである。
柔軟に対応する事業をしていけば、社員が自ずと成長し安心できる経営になる。
■経営多角化でコストが上がる
経営多角化はメリットだけではなく、デメリットも存在する。例えば、経営多角化をすると、1つの事業に集中することができず非効率な経営になってしまうことがある。
手にできる事業が多くなればなるほど、専門的な人材を事業ごとに用意しなければならない点もある。さらに、複数の製品を事業にしていれば部品を仕入れる為に、それぞれ別に購入しなければいけない為大量発注してコスト削減することができなくなる。
事業ごとに労働者の専門性は分かれることになる為、流動性が低下し育成コストが上昇することがあるのだ。
■経営には時代を見極める力が必要
企業がおかれている状況(環境・条件)により経営多角化をするべきがどうか異なる。経営多角化は、時代が急変する時期に最大限のメリットがあり、1つの事業を集中して行う場合でも、時代の波に乗れているのかは重要なポイントだ。
事業の判断は、経営者がするしかなく「市場動向」と「事業内容」を考慮し事業展開を判断する力が必要だ。どちらにも共通していることは、時代(消費者行動の変化・技術革新)を見極める力である。
経営者は、時代の最先端に注目し今後の事業展開を判断する必要があるのだ。