2019年の倒産件数は、リーマンショック以来11年ぶりの前年比増となったことは記憶に新しいと思いますが、2020年はそれを上回る”コロナ倒産ラッシュ”が現実味を帯びてきました。そのような中、社員のモチベーションをあげるために経営者として、できることはあるのでしょうか。
モチベーションに関係する「承認欲求」とは
人間の欲求は段階的に満たされるメカニズムになっていて、仕事をしていくうえでは、従業員が安心して仕事ができる職場環境、雇用契約の結び方、適正な労働時間が「生理的欲求」「安全欲求」「親和欲求」の3つ欲求を満たすことになります。
次の段階である「承認欲求」と「自己実現欲求」が、モチベーションが関係する欲求となり、経営者やチームリーダーが考えなくてはならない項目となります。
では、承認欲求とは、どのようなものなのでしょうか。
承認欲求とは、他人から認められたいと願う感情のことです。「他者から認められたい、尊敬されたい」と願う気持ちのことを指し、そこを満たすことで仕事に対する意欲を高めることになります。
承認欲求は、仕事をしていくうえでの大きな動機になるのですが、誰に承認を求めるのか、そして何によって認められようとするのかは人それぞれです。子どもの頃、親から褒められ認められたくて一生懸命になったことを覚えているでしょうか。
そのように、従業員は同僚や上司、強いて言うなら会社のトップである経営者に認められることがあれば、承認欲求を十分に満たすことになるのです。
感謝を形にすることで「承認欲求」を高める
高い給与を与えることはもちろんモチベーションをあげる要因にはなりますが、普段の働きや業績に対しての敬意を表すことは、社員のがんばりを認識していることを示し、社員の「承認欲求」を満たすことは前述した通りです。
さて、世界的な広がりをみせている新型コロナウイルス。人々の生活や社会に大きな不安と混乱をもたらせている中、一部の企業活動が制限されたり、働き方が変化したりと、従業員の生活にも大きな影響を与えています。
このような中、ある企業の社長がおこなった従業員への心配りが話題になっています。それは、1通の手紙と一緒に同封された現金3万円の支援金でした。
手紙には、支援金を出した趣旨が書かれており、「日々、不安の中、会社のために尽力してくれていることへの感謝のため」「予防対策費用のため」「家での時間を楽しんでもらうため」などが記載されています。
従業員にとって、現金の支給も嬉しいことではありますが、何よりも仕事に対する感謝の言葉を貰えたことが、今後の仕事に対する動機付けになっていることでしょう。
コロナウイルスという目に見えない恐怖により、事業の業績悪化などによる資金繰りに重大な支障が出ている企業もあり、社員の不安もあることでしょう。このような時にこそ、社員のモチベーションがあがるような、動機付けを考えることも経営者としての役割ではないでしょうか。
まとめ
社員のモチベーションをあげる動機付けの要素でアンケートを取ったところ、経営者との関係は報酬額への満足度よりも上位にランクインしています。良好な関係を築くことは難しいことではなく、声掛け、時折の差し入れなど経営者の気遣いが作り出していくのです。