会社の企業活動を主導する経営者と、会社の所有者を意味するオーナー。立場が異なる双方について、同一人物が兼任している例もあれば、オーナーが別に存在し企業運営のみに従事する経営者のタイプも存在します。両者の間にはどのような違いがあるのでしょうか。
経営者とオーナー、それぞれの相違点
会社、とくに株式などで出資者を募る株式会社においては、その組織内において最大の権限を持つ立場として、経営者とオーナーすなわち会社の所有権を持つ人物の双方が挙げられます。
経営者は、会社が携わる事業や組織運営に関し、実際に主導する役割を担います。会社とは、事業を通して収入を得、そこから活動に必要な支出を差し引いた分である収益を獲得することを最大の目的とした組織であると捉えることができます。
できるだけ大きな収益を得るには、どのようにビジネスに取り組めば良いのか? そういった部分を計画し実践するのが経営者となるわけです。
一方オーナーは、会社について所有権を持っている人物を限定的に指す呼称と言えるでしょう。仮に、実際に会社運営に着手する経営者が会社の所有権も同時に持っているのであれば、オーナー経営者ということになります。
それとは異なり、会社の所有権を所持しておらず、言わばオーナー側から雇われて会社のビジネスを指揮するタイプの経営者は、サラリーマン経営者、と捉えられることとなります。
会社の所有権については、一般的な株式会社を例とすれば把握しやすいかと思われます。
株式とは、言うなれば会社の所有権に当たるものです。会社を立ち上げるには、まずその元手となる資金が必要です。これによって、人材・事業所・事業に用いる設備や装置などを用意することで、ようやくビジネスを通して収入を得る状態が確保されるわけです。
そういった資金集めに用いられる手段の1つが、株式です。株とは、その保有率によって会社の所有権が決まる類の証券を指します。株の購入者は、会社へ資金を提供するのと引き換えに、会社の所有権を一部獲得することになるわけです。
株式を所有するすなわち会社のオーナー権を持つことで、会社の事業によって得られた収益の一部を、配当金という形式で持ち株の割合分受け取ることが可能となります。株式の保有率について、全体の50以上を特定の株主が保有している状況であれば、その株主の会社所有権が最も強いということになります。
オーナー経営者とサラリーマン経営者、各々のメリットとデメリット
オーナー経営者は、自己資産から会社に資金を提供している経営者、もしくは株式会社において自社の株式全体の50%以上を保有している経営者、ということになります。
オーナー経営者の主なメリットとしては、会社の意思決定に関して自由に判断を下すことができる、という点が挙げられるでしょう。経営者とは別に会社のオーナーが存在していた場合、会社に関して最大の権限を持つ者が経営者以外に存在するということになります。経営者はオーナーの意向に従って経営判断を取らざるを得ず、自由に経営を進めることが適いません。
しかしオーナー経営者であれば、そういった束縛に囚われることがないというわけです。
オーナー経営者のデメリットとしては、会社の不振が自らの資産低下に直結するという点が挙げられます。会社を所有することはすなわち、会社が自身の資産に位置付けられるとも捉えられます。会社の業績が悪化し、支出が収入を上回り収益がマイナスという状態となると、自らの資産もマイナスとなってしまうわけです。
株式会社の場合では、業績悪化が株価の低下に繋がります。それが資産価値の低下や配当金停止といった形で、オーナー側へ経済的ダメージを及ぼすこととなります。
サラリーマン経営者においても、メリット及びデメリットが見られます。それはオーナー経営者のメリット・デメリットと真逆の関係性になると言えるでしょう。
会社が経営悪化に至っていたとしても、サラリーマン経営者であれば、自身の資産に直接被害を受けることはありません。元々オーナー側に雇用され、給料を得て経営に携わっている立場となります。そのため、仮に会社が倒産した場合、給金はゼロになりますが、既存の自己資産がマイナスになる事態には及ばないということになります。
他方、自身の業務である経営に関しては、オーナー側の意志を重視しなければなりません。そのため、自身の思う通りに経営方針が取れないという面が現れます。仮にオーナー側と経営の在り方について相違点が生じた場合、自身の主張を取り下げざるを得なくなるでしょう。オーナーの意志に逆らって自らの理念を貫き通そうとしても、経営者の職務を解任されることになり、結局は実行不可能となるわけです。
まとめ
以上のように、経営者とオーナーの立場の違いから、オーナー経営者とサラリーマン経営者それぞれの主な利点・難点について確認してまいりました。経営者としては、自らがどのタイプに属しているのかを充分に把握し、それに応じた立ち回りを取ることが重要と言えます。