経営者が行うべきリスクコントロールの転嫁と保有について

企業を取巻く危険

企業を取巻く環境は刻一刻と変化し多様化、複雑化しています。このような目まぐるしい時代を生き抜くために経営者に必要なのは未来を見据えた確かな眼力でしょう。

企業が直面するリスクに対する対処法にはどのようなものがあるのか見てみましょう。

【リスクの対処法】

企業に存在する様々なリスクに対して下記のような4つの対処法があります。

 

・リスクの低減

損失の軽減の為にリスクの影響を小さくする

損失の予防の為にリスクの発生頻度を下げる

 

・リスク回避

予想されるリスクを避ける為に活動自体を行わない

リスクそのものを取り除いたり、プロジェクトに影響がないようにスコープや目標を縮小変更する事

 

・リスクの転嫁

保険のようにリスクを第3者に転嫁する事

またリスクのある業務や作業をアウトソーシングしたり、損害の発生に備えて損害賠償保険を掛けることでリスクの影響を自社から他社に移転する対応策

 

・リスクの保有

リスクの存在を認識しそのまま何もしない。対策費用が予想よりも上回っている時などに取られる方法

 

【リスクの自家保有】

リスクの自家保有とは保険会社にリスクを転嫁せず企業の内部に損害引当金を積み立てる事を言います。

企業が自家保有できるリスクの範囲は企業の資金規模とそのリスクの特性によります。

小規模で頻発する事故に関しては給付される保険金と支払う保険料の関係を考えると保険に頼らず安定経費として損金処理をする方がお勧めです。

保険に加入しておいた方がよいケースは大規模で稀にしか発生しない事故についてです。

このような事からわかるように確実性のあるリスクは保有した方がよいのですが、不確実なリスクに関しては保険に転嫁した方がよいでしょう。

 

【保険への転嫁の問題点】

保険に転嫁する問題点はいくつかあり注意が必要になります。まず企業の損害に対して補償する保険に加入する場合保険料が高くなるというデメリットがあります。

もし保険に頼らず資産計上で自家保有すればリスクは平均コスト化され固定経費として相殺吸収する事ができます。

次に将来予想される損害諸経費を保険料で先払いする事になる為、企業のキャッシュフローが悪くなります。

 

【まとめ】

このように企業が抱えるリスクに対してリスク保有が有効であるケースと、リスク保有が有効でないケースが存在します。

またリスクを転嫁するかどうかの判断はそのリスクごとに違うため慎重に行う必要があります。

安心で安全な未来の為にそれぞれに対して適切な対策を講じる事が大切になってきます。