決算期になると、企業業績をあらわすときに「増収増益」や「増収減益」という言葉が使われることがあります。
増収増益とは売上が増え利益も増えたことであるのに対し、増収減益とは売上は増えたのに利益は減少したという状態です。
他にも減収増益や減収減益など、企業業益をあらわす言葉はいくつかありますが、どれが理想なのでしょう。
増益とは
「増益」とは、前期と比べて利益が増えることです。
営業利益が増えれば「営業増益」、経常利益が増えると「経常増益」といいます。
また、前期の利益に対して増加した割合が「増益率」です。
増益率とは
「増益率」とは、前期の経常利益に対する当期利益の伸び率であり、財務諸表分析の1つです。
経常利益の成長率であり、割合が高ければ成長していることを意味しますが、低いときやマイナスのときは成長していない、または衰退していると判断できます。
投資家が株式投資するときの指標として用いることが多く、次の計算式で算出することが可能です。
増益率=当期経常利益÷前期経常利益-1
「増収」と「増益」の違い
「増収」は売上が増えることであり、以前と比べたときに商品やサービスを売った金額が増えていることを意味します。
「増益」は利益が増えることであり、売上から仕入値や経費など差し引いて残った金額が前よりも増えていれば儲かっていると判断できます。
増収増益の意味
決算期になると、「増収増益」や「増収減益」などの言葉が使われますが、「収」は売上高で「益」は経常利益です。
増収で売上が増加することは、売った商品がたくさんの顧客の役に立つことですが、利益は値が通ることであるため、利益を生むために設定した価格が顧客に受け入れられれば値が通り利益も上がって増益となります。
たとえば競合との競争により値下げすることは、値が通らないことを意味し減益といえます。
増収増益以外にも、次のような言葉があります。
増収増益…売上も利益もあがり良好の状態
減収増益…売上は増えなかったものの変動費と固定費を削減できた状態
増収減益…売上は増加したものの値が通らずに利益がでなかった、または変動費や固定費が増えた状態
減収減益…売上と利益のどちらも減少し状況が悪化している状態
このうち、「増収減益」と「減収増益」はその状態が好ましいのか判断が難しいため、次に説明していきます。
「増収減益」と「減収増益」はどちらが理想か
「増収減益」と「減収増益」は、どちらも企業活動の局面に過ぎず、様々な原因によるため一様に良いか悪いか判断できません。
事業を展開している局面で損益状態は変わるため、たとえば新商品開発や販売促進に向けた広告宣伝活動は先行投資となり、売上は上がったとしてもかかるコストも増え、「増収減益」となります。
市場に新商品が行き渡り、それほど投資しなくてもよい状態になれば「増収増益」となりますが、市場が成熟し売上と利益が低下してくれば「減収減益」に変わります。
さらに低下した売上に合わせて、不採算部門などの統合や整理をしたときやコスト削減したときには、「減収増益」になるといえるでしょう。