経営者が知っておくべき年末調整と確定申告の基礎

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経営者は事業を運営するにあたり、節税についても意識を高めていく必要があります。しかし間違った認識によって違法行為に繋がってしまう可能性もあることから、正しい内容を理解しておくようにしましょう。

年末調整とは?
会社から給与として支払われるお金は、既に源泉徴収されたものです。扶養控除等申告書を提出していれば扶養家族数で調整はある程度行われていますが、生命保険料控除などその他控除については考慮されていません。
考慮されていない控除分は多く源泉徴収されていることになりますので、年末調整でそれぞれ給与所得者の正しい税金を計算し、返金するという形になります。

源泉調整分の税金はいつ納付?
会社は給与から源泉徴収した税額を、給与支払日翌月10日までに税務署に納付します。
給与所得を得ている人は勤務先で年末調整を行うことになりますが、年の途中で退職した場合などは年末調整が行えません。そのため自分で確定申告を行うことになるでしょう。

所得税の次は住民税
年末調整によって所得者の報告が出た後、今度は6月頃に住民税の課税が行われます。
会社が特別徴収を行っている場合には、給与から住民税も徴収されます。会社が対応していない場合は個人で普通徴収により納付する必要があります。

一方の確定申告とは?
確定申告は1~12月の1年間の所得を計算し、翌年3月15日までに申告納付を行います。
会社役員は会社から役員報酬を受取りますが、役員報酬は給与所得の区分に含まれます。給与所得が1か所からのみの場合なら年末調整で税金の過不足が清算されていますので、原則確定申告の必要はありません。
ただし会社から給与所得があり、次に該当する場合には確定申告が必要です。
・2か所以上からの給与を受け取っている場合。
・給与が年間2,000万円を超えている場合。
・収入から必要経費を差し引いた給与以外の所得が年20万円を超えてある場合。
退職後に起業した場合や、別の会社に就職した場合には年末調整で調整が可能です。
また、会社の役員で会社から不動産賃料や利息を受取っている場合、給与以外の所得が20万円以下の場合でも確定申告が必要になります。

確定申告の必要がなくても行ったほうが良い場合もある
他にも医療費控除、住宅借入金等特別控除を始めて受ける場合も確定申告が必要なので注意しましょう。
年末調整で生命保険控除証明書控除を提出し忘れて控除がされていなかった場合や、税務上控除できる寄付があった場合、仕事をしていたい人が会社を設立して給与をまだ受取っていないために年末調整が行えていないという場合なども確定申告をすると税金が戻ってくる可能性があります。
なお、投資や家の売却などで損失が出た場合、その損失分を翌年以降に繰り越すことができる制度もありますので節税対策として活用することも検討しましょう。