第三者に事業を承継するM&Aという方法は合理的?

企業経営情報

世代交代期と考えられる60代や70代の経営者は、次の世代に経営を引継ぎたい気持ちはあっても、後継者難で事業承継が実現できないという問題を抱えていることは少なくありません。
そのため中小企業では後継者が不在という問題に直面した際、有力な選択肢として「M&A」を行うケースもあります。
成長戦略とM&Aを活用する企業も数多く存在していますが、実績と獲得した顧客を含め事業を買収したほうが低リスクで投資金額を抑えることができると考えられているからと言えるでしょう。

M&Aは後継者不足問題を解決する方法
事業承継を考える際に、承継する相手は子や親族、役員・社員、第三者のいずれかから選択することになります。
しかし親族や役員などに後継者候補がいなければ、第三者にM&Aという形で事業を承継することが合理的な選択肢として残ります。
後継者不足を解決するため、ふさわしいと思える第三者に事業を譲り渡して発展させてもらうという方法こそが中小企業の事業承継型のM&Aだと言えるでしょう。

相手がいてこそ成立する承継方法
中小企業のM&Aは株式譲渡による方法が一般的で、株主が変更される以外に見た目には大きな変化を伴わないことから企業価値を壊すことなく事業を引継いでもらうことが出来るでしょうし、財務内容が良好な会社の場合なら営業権に対しての評価も期待できます。
経営者が個人保証を負っている場合でも、買い手となる企業が肩代わりをすることになるのでその点でも心配はいりません。
ただし相手がいてこそ成立する方法ですので、買収したいと思わせる魅力がなければ成立しないとも言えるでしょう。

清算や廃業では何が残る?
事業承継ができないのなら、いっそのこと会社を清算や廃業すれば良いと考えている経営者もいるかもしれません。しかし会社の資産を全て売却したとして、借入金を全額返済できるでしょうか。
借金が残る上に、従業員を解雇しなければならなくなるといった問題も生じます。さらに清算や廃業を行う場合には、借入金や買掛金といった負債を返済するために保有している資産は全て現金化する必要があります。
現預金は簿価どおりですが、清算会社が保有する土地や建物、設備、在庫などは簿価どおりに現金化することは極めて困難です。

・財務内容に余裕がなければ行えない方法
土地は相場によって現金化できたとしても、他は大幅に減額されてしまうので、財務内容にかなり余裕がある会社でなければ清算は厳しいのが現状です。
清算や廃業を考える前に、事業を存続して雇用を維持する方法はないか、そのためにM&Aを活用できないかということも検討してみましょう。

合理的な事業承継方法として検討の余地あり
中小企業の事業承継では様々な問題が生じることがありますが、特に後継者難という問題については第三者に承継するM&Aという方法を選択肢として考える必要があります。売り手と買い手、さらに従業員や取引先など、それぞれにとって良い状況が確保できることを検討しましょう。