休業したときには、休業手当が支給されることがありますが、休業補償との違いがよくわからない方も少なくありません。
どちらも休業期間中の賃金ではあるものの、休業する理由に違いがあります。
そこで、休業期間中に支給される休業手当と休業補償の違いについて説明していきます。
休業手当とは
「休業手当」とは、労働基準法に基づいた制度であり、会社都合で休業したときに従業員に支払う手当です。
会社の都合で休業となった場合でも従業員が収入減少などで生活に支障がきたすことを防ぐことができますが、休業期間中の手当額は「平均賃金×60%以上」と定められています。
休業に対する給与の補填といえる制度であり、労働基準法でも使用者の責に帰すべき事由で休業する際には、休業期間中に労働者へ平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならないとしています。
「使用者の責に帰すべき事由」に該当するのは次のことを要因とする場合の休業などです。
・経営不振
・設備や機械の不備・検査
・資材不足
・人員不足
・電力や燃料不足
・監督官庁の要請
休業手当が発生しないケース
「使用者の責に帰すべき事由」に該当するケースを見ればわかるとおり、台風や地震など自然災害の影響により施設が被害を受けたときや、公共交通機関利用が困難だったケースなどは不可抗力として休業手当は発生しません。
不可抗力に該当するのは、次の2つの要件を満たすときです。
・原因が事業の外部より発生した事故
・事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしても防止できない事故
休業手当の支給対象にならない期間
休業手当が支払われるのは、労働するはずだった時間です。
そのため次の期間は支給対象になりません。
・労働義務がない日(所定休日など企業が定めた休日)
・労働の意思がない日(ストライキ中など従業員が意図的に休んでいる)
・労働できない場合(伝染病感染などで休んでいる)
休業補償とは
「休業補償」とは、就労中発生したケガや病気などによる労働災害が原因で働けずに休業する場合、補償する制度です。
こちらも労働基準法で定めがあり、支給される額は「平均賃金×60%」と定められています。
仮に企業に過失がなかった場合でも労働者に休業補償を支払うことが義務づけられており、休業日が企業の所定休日でも支給対象となります。
なお、業務上の傷病で休業が必要となった場合には、労災保険から休業補償給付が支給されます。