実は「倒産」という言葉に明確な定義はなく、法律用語としても使用されていません。一般的に使用される場面としては、資金繰りに窮し事業を現状のままでは継続できなくなった状況の時に使うことが多いようです。
倒産のイメージ
一般的な倒産のイメージは会社がつぶれてしまったという清算処理が強いですが、事業の存続や再生を目指す再建手続きも倒産に含まれます。株式投資の失敗によって倒産という状況に陥ったものの、事業自体は利益が見込める状況であれば継続することを検討した方が良いケースもあります。
目的別の倒産の分類
倒産には清算と再建という2つの目的があり、清算は全資産を換金処分して債権者に分配したのち事業を廃止する方法がとられます。一方の再建は事業を継続することが目的なので事業資産を残して得られた収益から債務の弁済を行っていきます。
倒産手続の分類
倒産手続は大きく法的整理と私的整理に分けられますが、法的整理は裁判所が関与する下で倒産手続きが行われます。一方の私的整理は債権者と債務者が話し合って利害調整を図って処理をします。
・法的整理
法的整理には民事再生、会社更生、破産、特別清算の4種類があります。利用されることが多い再建手続に該当するのは民事再生、清算手続であれば破産が該当します。会社更生法は一部大企業が再建手続の際に利用し、特別清算は債務超過に陥った子会社の清算の際に利用されます。
・私的整理とは
私的整理は法律の制約がありませんので手続方法は多種多様です。私的整理にも再建と清算の方法がありますが、これまでは清算方法として利用されることが多かったのですが最近では再建手続として利用されることが多くなりました。銀行などの債権者と直接話合い再建計画を合意する方法が私的整理による再建手続きになりますが、債務返済の繰延や債権カットがそれに含まれます。私的整理の場合には債権者と債務者が協議を行う場合と、調整機関や仲介機関などが間に入って利害調整を進めることがあります。
再建と清算はどちらが良い?
事業を終了するのではなく再建していくことが好ましいですが、再建するなら事業に余力が残っているかがポイントになります。さらに倒産という状況に陥る時には、再建が可能な段階ではなく万策尽きた状況のことが多いため、実際には清算手続きを行うケースが大半です。
倒産手続は固定されない
これらの手続きは固定的なものではなく、私的整理で再建を目指していても債権者と交渉が決裂すれば法的整理で民事再生法を申請することになります。内整理を行うつもりだったものの債権者がまとまらなかったことで法的整理による破産申し立てを行うケースもありますし、民事再生を申請したが可能性がないと判断されれば破産手続きに移行せざるを得ない場合もあります。倒産という言葉には様々な意味や流れが含まれていますので理解しておきましょう。