企業で問題になる「パワーハラスメント
ですが、中小企業の経営者はどのように対処していく必要があるのでしょう。
パワーハラスメントの定義とは?
パワハラの定義とは「同じ職場で働く者に対して職務上の地位や人間関係など、職場内での優位性を利用しながら適正な業務の範囲を超えて精神や身体に苦痛を与え職場環境を悪化させること」です。
職場で何らかの優位性を背景として、嫌がらせやいじめがあった場合には全てパワハラだと断定されることになります。
職務上の地位は上の者が下の者に対して行うというものだけでなく、部下が結託して上司をいじめるといったこともパワハラに該当します。
パワハラの範囲とは?
暴行や傷害、暴言、脅迫、名誉毀損、侮辱、仲間はずれ、隔離、無視などは目に見えてわかりやすいパワハラです。
しかし業務の上で過大な要求することや、逆に程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないことなどもパワハラに該当しますが、業務上の適正な指導との線引きが難しいという特徴があります。他にも過度に私的なことに立ち入る行為もパワハラです。
業種や企業の環境、行為の継続性などでも判断されることになりますが、それぞれ範囲を明確にすることも必要でしょう。
パワハラにかかわる労働紛争は急増中?
パワハラの被害者が起こす裁判も多数あります。中小企業の経営に及ぼす可能性として、「法的責任」を負うことが考えられます。
法的責任は労災認定や民事訴訟などによる責任で、ブラック企業として烙印を押される可能性があります。
結果として法的責任に問われなかったとしても、手間や莫大な費用がかかるケースもあり、インターネット社会ですのでどんどん悪い噂が広がる可能性もありますので注意しましょう。
過去のやり方は通用しない
現在の中小企業の経営者には、昔自分が会社員だったころには、根性や気合いだと厳しい労働条件を与えられ、その中で切磋琢磨して業績を上げてきたという人もいるでしょう。
しかし今は上司が部下を呼びつけ1時間激しく叱責すれば部下は意気消沈し、社内の雰囲気も悪くなって士気を低下させます。
中小企業の経営者に必要なのは、社長自身がパワハラ行為を行わないこと、そして中間管理職と一般社員との間にある部分にパワハラが存在していないか注意することです。
優秀な社員は誰かを間違わないこと
経営者はパワハラをしてしまいがちな管理者を優秀だと判断してしまうことが多いようです。
パワハラを行いがちな管理者とは、目上には礼儀正しく弱いですが部下に厳しく強気であること、そして押しが強く業績を短期的に上げることができる人物という特徴があります。
ただしこのような管理者は、短期的には活躍できても長期的に社内に存在すると雰囲気を悪くし、部下を育てることもできずに失脚させます。経営者は人を見る目も必要だということが言えるでしょう。
低成長期に合う指導が必要
高度成長期には、まだ未来に希望があったため経営者と社員は一体となって事業に取り組めました。叱責や厳しい態度があってもそれを上回るメリットがあったのです。
しかし現在の低成長期では、環境や若い世代の価値観も変化していますので当時のやり方は通用しないということを理解することが必要です。