負債がある企業が事業承継を行う場合の方法とは?

企業経営情報

日本経済を支えているのは中小企業だと言えますが、後継者に事業を円滑に引き継ぐことは決して容易ではありません。
事業の承継が進まない理由として第一に後継者不足が挙げられます。以前は経営者の子に事業を承継させるケースがほとんどでしたが、少子化や子供が親元を離れ生活をし、親の事業に興味を持たなくなっています。
そして後継者が居たとしても問題となるのが、債務を抱えている場合です。

企業の財務が良くないと事業承継が進まない
子供が後継者となり事業を承継させたくても、企業の財務状況の悪化や債務過多に陥っているといった状況で子供を苦労させたくないと考えるケースもあるようです。
他にも相続税の問題や、後継者と後継者でない相続人とで紛争が起こるといったケースもあるようです。

その理由は経営者が個人保証を行っていること
債務過多に陥っている企業の場合、民事再生手続きを行うか、事業承継についてもM&Aなどを検討することが必要でしょう。
しかし中小企業の場合、M&Aにマイナスのイメージを抱くことが多く、閉鎖的な地方で取引先の債権を巻き込んでしまうのは検討しにくい環境であることなど積極的に利用されていません。
中小企業の場合には経営者が個人保証を行っていることがほとんどですので、会社の債務整理を行えば連動して経営者も自己破産という形になると考えられます。そのため経営者も債務整理に対して検討しにくいという状況です。

中小企業が事業承継を円滑にするために
事業承継を円滑にするために、中小企業が考えるべき方法として次のような方法があります。

・支払方法の変更を申請する方法
支払方法を変更することで事業活動が円滑になる可能性もありますが、新たな融資は受けにくくなることで資金繰りに影響する可能性もあります。
また、地方などは閉鎖的な環境におかれていることにより世間体が気になり検討しにくいということもあるようです。

・会社分割方式を利用する方法
会社分割は利用方法次第で取引先の債権を新たな会社に承継しつつ金融債権を旧会社に残すことができます。ただし安易に活用すると会社分割の効力が相対的に取り消されてしまう可能性がありますので注意が必要です。

・中小企業再生支援協議会を活用する方法は
中小企業再生支援協議会は中小企業の再生を支援する公的機関で各都道府県に設けられおり、専門家による債務調整が可能です。

・事業を売却するM&Aの活用をする方法
M&Aで引退する目的は、会社を売却することで経営者は代表を外れ、新たな代表に既存の借入保証を引き継いでもらうことです。売却による引退の場合、連帯保証が外れることを明確にしておきましょう。
買収側との確認も必要ですし、新たな連帯保証人でも良いかを判断するのは金融機関ですので借入金融機関とも事前に打ち合わせしておく必要があります。
通常は負債をそのまま引き継いでくれる買収先はありませんので、債権者や買収先と交渉しながら互いが納得する売却スキームを構築することになるでしょう。

経営悪化により事業承継が進まなければ
負債を抱えている企業の場合、事業承継が円滑に進まないケースがあります。そのため対応できる方法を上手く活用していくことを検討しましょう。