台風や、津波などの自然災害によって従業員やお客様に被害が発生した場合企業は何らかの責任を負わなければならないのでしょうか?自然災害時の企業の賠償責任についてみてみましょう。
【自然災害と企業の賠償責任】
自然災害と言っても様々なものがありますので、一例をあげてみましょう。
・会社の看板が台風で吹き飛ばされ通行人にぶつかり怪我を負わせた。民法では、土地の工作物の設置、保存に瑕疵があった場合損害賠償請求が発生します。瑕疵とは、傷や欠陥のことを言い法律的には通常有すべき安全性に欠けていた場合損害賠償責任が発生するとあります。
この場合、看板の取り付けが不十分であったり、ねじが外れていた、などという場合企業側に損害賠償責任があります。
しかし、定期的に管理や点検を行っていたが台風で飛ばされたという場合は、損害賠償責任はありません。
従業員等の内部の人間に対しても安全配慮義務があります。例えば、工事現場では安全のためヘルメットや安全靴を着用させたりする義務があります。これらの義務を会社側が怠り自然災害が発生した場合は、安全配慮義務を遂行していないとみなされ損害賠償請求をされますので注意しましょう。
【企業は賠償請求をされるリスクに備える】
このように、企業には多種多様な損害賠償請求のリスクがあります。特に近年はそのリスクの範囲が広がり、企業の賠償請求リスクは莫大な金額になるケースも少なくありません。
これらのリスクに備えるために「企業総合賠償責任保険」というものがあります。
この保険では企業が抱えるリスクを総合的にカバーし、事業形態に応じていくつかの保険があります。
企業は自社のニーズと補償内容を確認し、必要な保険を選択することができます。
【被害者も無関係ではない】
企業は安全性確認や安全配慮義務が不十分であった場合、賠償請求リスクがありますが被害者側も決して無関係ではありません。
例えば、「予見できる危険に対してどれくらい対応をしたか」という問題は被害者側にも当然でてきます。
台風や自然災害における危険性は十分予見できていたのに、被害者が何もしなかった、無防備な状態で通行していたなどという場合は過失相殺され賠償額が減額されることもあります。
【まとめ】
日本は地震大国とも言われており、地震をはじめとする様々な自然災害に見舞われる危険が高くなっています。
企業側も十分な安全対策や、安全確認が必要になりますが、そこに住む者も自然災害に対して何かしらの対策を講じる必要があるでしょう。