企業統治とは、会社が組織ぐるみで不祥事を起こすことを防ぐために、社外から取締役や監査役を招き入れ、透明・公正で迅速・果断な意思決定を行う仕組みをつくることです。
株式会社の株主は、利益を期待して資金を投じるため、経営者は株主利益の最大化を達成する必要があります。
そのために欠かせないことが企業統治といえますが、内部統制やコンプライアンスとの違い、コーポレートガバナンスの必要性をお伝えします。
企業統治とは
企業統治とは、コーポレートガバナンスとも呼ばれる仕組みであり、企業の組織ぐるみの不祥事を防ぐため社外取締役や社外監査役などの社外管理者が経営を監視することです。
株式会社の所有者は株主といえますが、株主だけでなくその他の利害関係者の利益を最大化にするためには、会社ぐるみで行われる不祥事などを防ぐことが必要といえます。
利益を多く生むためには長期的に企業価値を高めることも必要となるため、社外取締役・監査役・委員会の設置や、取締役と執行役の分離などを取り組みとして行っていきます。
内部統制との違い
内部統制は、会社が法令遵守するための仕組みです。
対する企業統治は、株主の権利保護と不祥事防止の経営監視の仕組みといえます。
内部統制は従業員が守るべき社内ルールであるため、法律や職業倫理を企業が守ることを目的にします。
会社法と金融商品取引法では、委員会設置会社や上場会社の内部統制整備は義務化されています。
企業統治と共通することは、情報開示の透明性や財務報告の信頼性を担保することが目的であることです。
会社の不祥事を防いで健全に経営するためには、企業統治だけでなく内部統制も必要といえるでしょう。
コンプライアンスとの違い
コンプライアンスは法令遵守と訳されるため、会社が法律・社会倫理・企業倫理を守ることです。
会社が不祥事を起こしたときには企業統治が欠如している状態といえ、コンプライアンス違反として扱われます。
法令遵守を強化するために、外部から企業を統治する企業統治が必要といえるでしょう。
企業統治の必要性
企業統治の目的は以下の4つです。
・適切な情報の開示で透明性を確保する
・株主などの利害関係者へ説明責任を果たす
・企業競争力を促進する
・社会的な価値を向上させる
株式会社は所有と経営が分離されているため、株主は会社を所有し、経営者が経営を委任されます。
資本主義の経済では、株式会社では、株主以外にも取引先や従業員など多くのステークホルダーを抱えています。
ステークホルダーの利害関係は必ず一致するとはいえないため、それぞれの利害関係者が正当な利益を得ることができるように、経営陣を監視して統治する仕組みが必要といえます。