経済制裁とは、ある国が別の国へ行う経済的な手段による制裁です。
たとえば、貿易制限・資産凍結・金融取引停止などが挙げられます。
国際法に違反した場合や人権侵害など、問題行動を起こした国に、行動を改めさせるために実施されます。
武力行使に比べて平和的な手段といえるため、効果が期待できる場合もあるものの、制裁対象国が他国との貿易や金融取引で制裁回避する行動をとるケースもあり、国民生活に大きな影響をきたす場合もあるため注意が必要です。
そこで、会社経営で知っておきたい経済制裁について、目的や種類を簡単に紹介します。
経済制裁の目的
経済制裁が実施される目的は、特定の国・組織・個人の行動について、望ましい行動へと変化を促すことです。
国際法違反・人権侵害・テロなどは、国際社会における平和と安全を脅かします。
これらの行為を阻止するために行うのが経済制裁です。
具体的には、貿易制限や資産凍結などで経済的な圧力をかけて、政策変更や行動是正を促し、国際社会の平和と安全を維持します。
経済制裁の種類
経済制裁には、以下の種類があります。
・貿易制裁
・金融制裁
・個別制裁
単独で実施するケースもあれば、複数の制裁を組み合わせて行う場合もあるなど様々といえます。
国連などの国際機関が主導して実施する場合や、各国が独自に行うなどもありますが、具体的な内容は以下のとおりです。
貿易制裁
貿易制裁は、特定の国との間での輸出入の制限や、特定の商品の取引を禁止する措置です。
エネルギー資源や武器の輸出入禁止などが挙げられます。
金融制裁
金融制裁は、対象の国や組織の資金の流れを制限する措置であり、たとえば、国際送金の停止措置や銀行口座の凍結などが挙げられます。
個別制裁
個別制裁とは、特定の個人または団体を対象とする制裁であり、たとえば、旅行禁止や資産凍結などが挙げられます。
その他の制裁
その他にも、以下のような制裁による措置が取られる場合があります。
・外交制裁(大使の召還や在外公館の閉鎖など、外交関係を縮小または断絶する措置)
・渡航禁止(特定の国への渡航を禁止する措置)
・武器禁輸(武器や軍備の売却・移転を禁止する措置)
・包括的制裁(特定の国や地域との間で貿易や金融取引などを包括的に禁止する措置)
・選択的制裁(特定の個人や団体を対象とした資産凍結や取引停止の措置)
・一次制裁(米国が自国の管轄権の及ぶ取引へ実施する制裁)
・二次制裁(米国が一次制裁の対象国や地域と取引を行う第三国へ行う制裁)