経営者の大きな悩みの一つとして事業承継があります。事業承継は早くから計画を立ててしっかりと準備しておかなければ、のちに様々なトラブルに発展する可能性があります。
【事業承継におけるトラブル】
事業承継で引き継がれるものは「人(従業員)」「知的財産(経営理念など)」「資産」です。
それぞれのトラブルをみてみましょう。
会社にとって、人(従業員)はなくてはならない存在です。従業員がいなければ事業は成り立ちませんし、会社の利益を生み出すことができません。企業にとって、そこで働く従業員こそが一番の資産だと言っても過言ではありません。
事業承継を行う意味は、資産を後に残すということもありますが、今働いている従業員の生活を守るという側面もあることを理解して事業承継しなくてはいけません。
知的財産の承継については、後継者が現経営者や先代からの経営理念を十分理解した人物であるか、どうかの見極めが大切になります。経営者の理念を十分に理解せず、自分のやりたいように事業を進めていったのでは今まで経営者が培ってきたものや、従業員も自然と離れていき事業経営は成り立たなくなってしまいます。
最後に資産の承継ですが、株式を移転したり資産を相続した場合後継者は多額の売買金や税金を支払うことになります。後継者が事業承継に係る資金を支払えず事業承継が行えないというケースも少なくありません。
【有効な対策】
上記のような事業承継トラブルに対してそれぞれどのような対策をすればよいのでしょうか?
まず事業承継を行う際には、誰にどのように承継をするのかを明確にします。事業承継の方法と、誰を後継者にするのかが決まったら親族や役員、会社に深く関係する人などを集めその意向や考えをきちんと説明しておきましょう。
そして事業承継計画書を作成し、計画に沿って準備を進めていきます。事業承継計画書があることで、後継者は自身がすべきことを整理することができ、資金の確保、従業員への信頼関係など余裕を持った事業承継が行えるのです。
また、資産についても経営者個人のものと会社のものをはっきりと区別しておく必要があります。これらをはっきりと区別しておかず事業承継をした場合、経営者個人の資産が、
第三者にわたってしまうリスクもあるからです。
さらに後継者の税金の負担や、株式移転に関する資金を補填するものとして、経営者が生命保険に加入し、受取人を後継者にするという方法もあります。
このように事業承継時には様々なトラブルが発生します。経営者は自社に存在するこれらの問題をあらかじめ分析、整理しておきそれに対する対策を講じる必要があるでしょう。