経営者は、今元気でもいずれは事業を誰かに承継していく事になります。その時がきて慌てるよりも、事前にその流れや方法を理解しておき少しずつ準備をしておくとスムーズに問題なく事業を承継する事が出来ますので、基本的な流れについて知っておきましょう。
【後継者教育】
まず事業承継をするために、後継者の教育が必要になります。後継者が現時点で決まっている場合は、後継者を他人の会社に就職させそこで働かせてみましょう。
実際に自分の味方をしてくれる者や、守ってくれる者がいない場所で一から鍛えられるという経験は後継者を更に逞しくさせてくれる事だと思います。
この場合、安定的な大企業よりもこれから伸びようと頑張っているベンチャー企業の方がお勧めです。ベンチャー企業では、新しい事へのチャレンジや、ビジネスの基本、組織の在り方など経営者として必要な多くの事が学べると思います。
【社員の理解】
経営権の承継を開始する前に、きちんと段階を踏んで社員の理解を得る事が重要です。
今まで長い間会社の為に働いてくれた古株の社員からすれば、いきなり子供だからと言って最高幹部に抜擢されたら面白くありません。
反発を買い、古い社員達が全員辞めてしまう事態にもなり兼ねません。しっかりと時間をかけて理解をしてもらいながら慎重に行っていきましょう。
【会社の経営、所有権や株の承継】
次に経営権の承継、会社の所有権、財務的な責任の承継に移ります。代表権の承継はいきなり社長に就任させるのではなく、段階を追って行っていきましょう。
特に新社長は急激な変化を実施し、失敗する事が多いので周りと協力して慎重に行う事が大切です。
株の承継も行っていきましょう。株式の大半を経営者が所有していますので、後継者にもそれらの株式を承継させなければいけません。承継方法としては、買取、生前贈与、相続、種類株式の4つがありますが、生前贈与は税金対策としても有効ですし先代が生きているうちに実施できるのでトラブルも少なくお勧めです。
【債務保証の継承】
事業承継をする際には、会社の債務や負債についても承継する事になります。多くの中小企業では、経営者は銀行からの借入金の連帯保証人になっています。
事業承継の際の大きな負担になるのが、後継者のこれらの債務負担です。現在会社の経営が順調で、借入金について、返済できるようでしたら早急に返済をして、後継者には負担の少ない状態で事業承継を行いましょう。
【まとめ】
事業承継は、様々な手続きが必要になりますが中でも社員への理解は時間をかけ慎重に行うべき事案でしょう。
ここを失敗すると、事業の存続・発展が危ぶまれるため将来の事も見据え慎重に準備をしましょう。