事業承継において、後継者の育成とともに重要になるのが、自社株の引下げです。現経営者は後継者にスムーズに事業承継を行うためにも、事前に余裕をもって株価対策を行う必要があります。
【自社株式の評価額引下げ】
自社株式は、少数株主である場合を除き一般的には類似業種比準価額と純資産価額の二つの計算式によって評価がされます。
類似業種比準価額は、一株当たりの配当金額、年利益金額、純資産価額の3要素と、類似業種の3要素を比較して株価を算出します。
自社株の評価額引下げに対する有効な対策として、不良在庫や不良債権の処理、含み損のある不動産などの資産を売却する、含み損のある有価証券やゴルフ会員券の売却、保険商品等の活用、社長や役員への退職金の支給などが挙げられます。
純資産価額の引き下げの対策には、相続税評価額がなるべく低く評価される資産の購入があります。
一般的な方法としては、アパートやマンションなどの貸家を活用した対策があります。
これは法人の場合、土地や建物等が一定期間経過すると時価よりも評価が低くなる為です。
【なぜ自社株評価額を下げる必要があるのか】
事業承継において、なぜ自社株の評価額を下げる必要があるのでしょうか?それは、自社株評価を下げるとは、自社の株価の引き下げなどを行い、後継者に贈与することで、節税対策としての大きな効果を得ることができます。
事業承継には、後継者の育成だけでなく株式の贈与・譲渡・相続などを行いスムーズに株式を移転させることも重要となります。
このように、後継者にスムーズに事業承継を行うためには、まず自社株の評価を下げる必要があります。自社株式の評価は、上記のような有効な対策を講じれば数分の1に引き下げることも可能です。
【株式の移転】
相続税の対策や、事業承継対策として自社株の評価を引き下げた後は、株式を贈与や譲渡という方法によって後継者や役員に移転することになります。
事業承継は、株式の評価額を下げるだけで終了するのではなく、移転までの計画を行いスムーズに進めることが大切です。
【まとめ】
事業承継対策において、自社株の評価を下げるということは大変有効な手段で大幅な節税効果を得ることができます。
しかし、株価を下げるということは、企業に大きな影響を与え、その状態を維持することが困難になるケースも少なくありません。
自社株の評価引き下げは、専門家と相談をしながら、ある程度の余裕を持って計画を進めていくことが必要でしょう。