会社の業績が好調で株価が上昇していった場合、当然会社の価値もあがるため現経営者から、事業を承継した後継者は多額の贈与税や相続税の支払いに苦しむことになります。
特にこれらの税金は現金で支払うため、事業承継を困難にさせる要因となるのです。
最悪の場合、事業承継ができず解散するケースもあることを理解しておく必要があります。
これらの問題を解決するための制度として「事業承継優遇税制」があります。
【事業承継優遇税制とは】
簡単にいうと、中小企業の経営者、後継者に向けた優遇措置で事業承継に係る相続税や贈与税などを大幅に免除してくれる制度です。
平成29年までは80%が免除されていましたが、平成30年以降は100%免除されることになりましたので、中小企業の経営者や後継者に方はぜひ活用すべき制度です。
優秀な企業が事業承継時に相続税や贈与税の負担に苦しめられ、円滑な事業承継ができずに解散してしまうリスクを回避することで、最終的に失業者の減少、国の経済の発展にも大きな影響を与えるのです。
このような影響を考え、中小企業の事業承継時の負担を少しでも軽減しようと考えられたのが事業承継優遇税制なのです。
【事業承継税制を受けるための条件】
このように相続税や、贈与税の優遇が受けられる事業承継税制ですが、受けるには下記のような条件があります。
・人の条件
経営者が会社の代表者であっったこと、筆頭株主であったこと
後継者は会社の代表になり、筆頭株主になること
また後継者に株式を贈与する場合は、後継者が3年以上取締役であることも条件になります。
・会社の条件
会社が中小企業に該当すること
中小企業の定義として、特に資本金の基準か、従業員基準のいずれかにあてはまれば、中小企業となります。
・スタートから5年間
この制度を利用するには、後継者が事業をスタートさせてから5年間は下記のルールを守る必要があります。
・後継者が会社の代表であること
・後継者が会社の株式を保有すること
・会社の雇用の8割を維持すること
【事業承継優遇税制を活用するデメリット】
このように、メリットが多くある事業承継優遇税制ですが、デメリットもあることを理解しておきましょう。
まず、歴史が浅く対応できる専門家が非常に少ないこと、専門的な知識を持たずして取り組んだ場合、適用条件を満たさずに猶予されていた税金の返納や、それらに利息を付けて返納する場合もあるという事です。
【まとめ】
中小企業の事業承継を円滑に行い後押ししてくれるのが、事業承継優遇税制です。
制度を十分に理解し、活用することができれば中小企業にとっては非常に大きなメリットがある制度です。
事業承継の際には、この制度に詳しい専門家に依頼してぜひ活用していきましょう。