結論からいえば、経営者=社長=代表取締役という意味が広義の捉え方だ。だが、明確にそうであるのか?といわれれば、そうではなく全くの別物である。今回は、経営者と社長の明確な違いについて解説していく。
■シンプルに経営者と社長を区別する
シンプルにいえば、経営者とは大きな会社を経営する人のことで、社長は小さな会社の長(おさ)と分けることができる。経営者は、利益を上げて株主などの出資者に還元する人だ。その為、経営者は株主の為に働き、利益がでなければならない。
社長は、よりシンプルに従業員や家族の為に働くものといえる。社長であれば、会社の者を我が一族と表現するほど、より密接な関係性ができあがる場合もある。そういった意味では、より古くからあるリーダー的な(より人間的な)ものが社長ということもできる。
社長はそれぞれの道を示し、大きな船を進めていくキャプテンなのである。一方、経営者とは株主の為に仕事を効率化し、利益を最大にしていかなければならない。そういった意味では、従業員や株主を乗せて目的地まで走る「豪華客船」のようである。
経営者と社長の明確な違いをシンプルにいえば、船の大きさスケールの大きさである。
■法的な観点からみる「経営者」と「社長」とは?
私たちがよく言葉を難しいと考えてしまう原因は、決まっているものと曖昧なものが混在しているからである。そう考えれば、「法的に認められている役職」ではない者は、経営者とはいえない。
法的に認められている役職名は、
・取締役
・代表取締役
の2つとなる。役員、副社長、専務、常務、執行役員などは法的に認められている役職名ではない。その為、代表取締役=「社長」というわけではない。
代表取締役とは、株式会社を代表する「代表権」を持つものだ。その名の通り、会社を対外的に代表するもので、社内では社長が会社を代表することもあれば、会長が会社を代表することもある。
代表取締役は会社の代表として「自分の意思で契約をする」ことが可能な力がある。一方、取締役は会社の最高機関である「取締役会の構成要員」である為、会社の方向性の決定や、取締役として任された一部の仕事を行うものだ。
だが、契約などを自分だけの意思で決めることはできない。経営者は誰だ?といえば、経営・執行を統括する機関の取締役会の構成メンバー=「取締役」=「経営者」といえる。
■目的地を決めるものが「トップ」である
経営者と社長を明確に分けるのであれば、シンプルに考えるやり方と深く考えるやり方がある。極論をいえば、会社の目的地を決める者が「経営者」であり「社長」である。経営者と社長が両方いるのであれば、経営者が目的地を決めるもので、社長には別の役割が求められる。