当初、5月6日までとされていた緊急事態宣言が延長されるにあたり、経営者のこれからの対応と検討すべき事は何か。また、従業員を抱える経営者であれば、対処しなければならない休業手当の取扱いかたなどを中心に書いていきたいと思います。
経営者として検討すべき事
【会社の経営方針】
経営者に対してのアンケートで、このゴールデンウイークはどのように過ごすかという問に対して、緊急事態宣言の延長を受け「会社の経営と経営分析を行う」と答えた方が34.5%に上り、「家族と過ごす」52.7%に次ぐ順位となりました。
また、「方針を変えなければならないと感じるか?」との問に対して、「感じる」と答えた方は43.6%、「強く感じる」と答えた方は27.3%となっています。このことからみても、この先どれほどの期間に及ぶか予想できない状況に、今後の会社経営について方針を変えていくか・変えるべきかの選択肢を迫られる時期となっていることが分かります。
【休業手当の取扱い】
会社によっては、休業を余儀なくされる場合と在宅勤務によって業務が行える場合と様々ですが、従業員に休業を求める・従業員が子供を持つ場合に仕方なく休業をとるなど、ケースによって異なります。この際の取扱いについても、経営者として考えなければならない事案の1つといえるでしょう。
そもそも、休業手当とは「使用者の責めに帰すべき事由」によって休業する際に、平均賃金の60%以上の手当を支払わなければならないというものです。では、今回のような状況は該当するのでしょうか。
また、従業員だけではなく、事業主や経営者も休業せざるを得ない場合の休業補償なども必要になってきます。
手当の義務はあるか?ないか?
従業員に対する手当の義務は生じるのでしょうか?上記の手当の説明からいくと、不可抗力による休業の際はその事由に当たらないとなっています。(労働基準法による)不可抗力とはどのような場合かというと
〇その原因が内部より発生した事故でないこと
〇事業主が経営者として、最大の注意をしても避けられない事故であること
この二つの条件を満たすものでなければ、認められないとされています。従って、支払う義務は生じないが、この先現在の状況が収まった際に以前のような雇用関係が保てるのかという事を考えると、従業員からすれば大変厳しい状況の時に助けてくれなかった会社に対しての心情は良いものとは言えないでしょう。
手当を支払う
経営者にとっても厳しい判断になりますが、今後を考えて従業員の生活を守っていくためには、手当を支払う選択を検討するでしょう。その際に利用できる助成金を調べて、申請することも大切な事となります。
手当を支払う際に利用できる助成金として挙げられるのは、「雇用調整助成金」というものがあり、現在のような状況の場合に事業の休止や縮小を余儀なくされた事業主が手当を支払う際のその費用を助成するという制度です。ポイントとしては
〇全ての業種を対象とする
〇計画届の提出(事後提出もあり)
〇助成率においては、中小企業=9/10 大企業=3/4とする
〇雇用保険被保険者ではない場合も対象に含む
となっています。助成額に関しては上限=8,330円/1人・中小企業=2,400円・大企業=1,800円の加算となります。
まとめ
助成金の申請においては、申請の書類の簡素化や手続きの負担を軽くするなどの案が出ております。経営者としては、早めに手と打ちたいと思っていても中々進まない状況に焦りを感じる事と思います。しかし、今できることを着々と進めていくことが、この先の事業の存続において重要な時期となるのも確かです。