企業の舵取り役すなわち経営者としてまず把握しておくべきは、自分が取り仕切る会社の経営状態と言えるでしょう。それを知るためには、経理の状況を見ることが有効です。経理に目を通すことが自社を知ることとどう繋がっているのか、調べていきたいと思います。
経理とは
企業の活動に伴うお金の流れを記録する。それが経理の役割です。事業を通して得る売上、事業に必要な元手に当たる仕入、企業が所有している現金および預金、従業員への給与、国や地方自治体に納めるべき保険料や税金、などの管理や計算を行う業務に相当します。
経理業務によって、1日ごと、1ヵ月ごと、1年ごと、といった一定期間のお金の出入りが、簿記という帳簿記載法に基づいて記録されていくわけです。中でもとくに重要なのは1年ごとの管理記録であり、これが決算書に相当します。
そこに表される決算内容が、法人税を始め企業として納めるべき税額の決定や、金融機関から資金を借り受ける融資の際の判断材料、株主への業績報告などに反映されることになります。会社経営において経理を疎かにすると、会社が儲かっているのか損をしているのか把握することができません。
これは企業として先行きが見えない非常に危険な状態であるとも言えます。経理業務は企業を運営するにあたって不可欠な分野と言えるでしょう。
経理を通して何がわかるのか
業務としてはお金の出入りに関する管理記録と決算の取りまとめを行う経理ですが、有用性に関してはそれのみに止まりません。使い道によっては、経営判断に活かすことも可能です。経理によって表させるお金の出入りは、経営状態を数字で表したものとも捉えられます。
つまり個人的主観によらず、数字という客観的視点から会社を評価したものと言えるわけです。その客観的視野に立つことで、リスクの回避や有利に物事を運ぶためにどう動くべきかの判断に役立てることができるでしょう。
常日頃から経理の記録内容を把握していれば、決算はどのような内容になるのか見通しが付き、次年度の課税額および可能な融資範囲について予測が立てられます。どのような規模で事業展開していくべきか、など前もって計画を練ることができ、そのぶん経営を有利に進められるでしょう。
また、経費削減が必要になった局面においても、経理内容の熟知が力を発揮します。主観的印象に惑わされず、帳簿すなわち数字の示す客観的データを基に対策を立てることで、より高い経費削減効果が見込めるでしょう。
自社の事業体制を見通せないまま経費削減に踏み切ると、改善どころか逆に更なる経営悪化を招く要因になりかねません。たとえば、仕入についてのコストカットが取り扱う商品およびサービスの低下に繋がり、売上の落ち込みに至ることも想定されるわけです。
しかし経理記録を充分に把握していれば、どこにどれだけ余計な出費があるのか詳しく認識でき、削減すべき点について優先順位ごとに実施することでリスク回避が可能となるでしょう。
これらが示すように、経理がまとめるお金の流れの記録に関して常日頃から精通していることが、経営者としての強力な武器となるわけです。
まとめ
以上のように、経営者が経理内容を把握することで、客観的数字に基づく自社の経営体制を知ることができ、より有利な企業経営に活かせることについて確認してまいりました。参考になれば幸いです。